化学と環境...『変革期』 いわきでノーベル賞受賞者フォーラム

 
「化学で地球を守る」をテーマにしたフォーラムで意見を交わす吉野氏(中央)と野依氏(右)ら=19日、いわき市

 福島民友新聞社創刊125周年記念事業のノーベル賞受賞者を囲むフォーラム「次世代へのメッセージ」は19日、いわき市のいわきアリオスで開かれた。2019年に化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰氏(72)と、01年に同賞を受賞した名古屋大特別教授の野依(のより)良治氏(82)が「化学で地球を守る」をテーマに基調講演し、変革期に突入する時代を生きる若者に持続可能な開発目標(SDGs)と化学の視点からメッセージを送った。

 リチウムイオン電池の開発で受賞した吉野氏は、電気自動車の市場規模拡大予測などを例に「ET(環境とエネルギー)革命がIT革命の次の大きな波になる」と述べた。変革は2025年に世界で一斉に始まるとし「持続可能な社会の実現にリチウムイオン電池が重要な役割を果たす。大きな時代の変わり目を見ていてほしい」と話した。

 不斉水素化触媒反応の発明で受賞した野依氏は「科学技術の進歩は、経済成長よりも社会発展や人類文明存続のためにある」と持論を展開。フロンによるオゾン層減少や温室効果ガスによる地球温暖化を例にしながら、「個人的な欲望が環境破壊や文明の危機を招く。人類の命運を握るのは人間自身の価値観だとしっかり考えて」と訴えた。

 パネル討論で、環境問題の解決策を問われた吉野氏は「環境問題は産業界にとって大きなビジネスチャンス。産業界が解決に向けて動きだしたときに一人一人がどう動くかが重要」と述べた。また、野依氏は「SDGsは17あり、できることは限られているが、できることをやる。若い人は長い目で考えて」と話した。

 フォーラムは、福島民友新聞社、読売新聞社、福島中央テレビの共催、日本電子、東洋システムの協賛、福島トヨタ自動車のエリア協賛。