コメ農家が「ビール醸造所」福島に設立!若き農業人ら地域貢献

 
出来上がったビールを手にする絵美さん

 コメ農家がビールを醸造―。福島市大笹生のコメの農業生産法人「カトウファーム」がビールの醸造所(ブルワリー)「イエロー ビアー ワークス」を設立し、26日から営業を始める。浜通りなどの農業者の協力で原料の一部は県内産を使い、本県の農業復興もPRする。社長の加藤晃司さん(40)は「地域に元気が生まれるように発展させたい」と情熱を燃やしている。

 コメ農家に生まれた晃司さんは大学卒業後、スポーツジムや建築業などの勤務を経て、高齢の祖父が農業を引退するのに合わせて2009年に就農。14年に農業生産法人を設立した。原発事故の風評被害に苦しみつつ耕作放棄地を借りて生産量を増やし、20年は約50ヘクタールを作付けした。「農業を通して地域を盛り上げ、農業自体の魅力を高める」ことが目標で、将来は100ヘクタールを目指す若き農業人だ。

 ただ、従業員を雇用する中で、農業以外の新事業の展開も模索してきた。専務で妻の絵美さん(39)が、異業種の会合に参加する中でビール醸造に興味を持ち、18年に晃司さんにブルワリー設立を提案した。自社で原料生産や醸造ができる上、地域の新たなコミュニティーになると考えたからだ。

 晃司さんも賛同し夫婦の夢が始まった。19年から夫婦で東京のブルワリーに通って醸造方法を学んだ。同時に醸造設備を整え、今年8月に酒造免許を取得した。順風そうに見えるが苦労の連続だった。特に新型コロナウイルスの影響で機材がそろわず、営業自粛のあおりで飲食店との取引にも苦戦した。原料の大麦やホップを南相馬市で栽培するのも一苦労だった。

 26日のオープンを前に、ビールの仕込みと50ヘクタールの稲刈りの準備で大忙しだ。それでも晃司さんと絵美さん、従業員、仲間が協力し、ブルワリーは活気に満ちている。絵美さんは「いつでもみんなが語り合い、笑顔になれる空間にしたい」と語る。

 大笹生地区の特産である果物を使ったビールの醸造も計画しており、晃司さんは「ビール醸造を通して地域に貢献したい」と挑戦を続ける覚悟は固い。

 「イエロー ビアー ワークス」のビールは華やかな香りやフルーティーな味わい、控えめの苦みが特長だ。ビールを販売・提供する併設店舗は金曜、土曜、日曜のみ営業。価格は1杯500円から(サイズはハーフパイント)と、720ミリリットル瓶で1500円から(特製の瓶は別売り500円)。常にビールは3~6種類ある。営業時間は午前11時~午後6時(金曜のみ午後3時から)。問い合わせはカトウファーム(電話024・557・9690)へ。