赤そばに「地域再生」の夢...遊休農地を活用 二本松の東北集落

 
多くの人が集う古里を、と赤そば栽培に取り組む野地さん(右から2人目)ら実行委のメンバー

 二本松市下川崎地区の住民有志は、多くの人が集う古里を取り戻すため、遊休農地を活用して、赤い花を咲かせる「赤そば」の栽培を始めた。今夏に作付けした赤そばの花が見ごろとなる27日から畑を一般公開する。少子高齢化に伴う人口減少、遊休農地拡大などの課題が深刻化する地域の再生に向け、一歩を踏み出す。

 赤そばの栽培が始まったのは二本松、福島両市境の丘陵地にある東北(とうぎた)集落。かつて県の総合農地整備事業で、阿武隈川から水をくみ上げて農地を潤す貯水槽や用水が整備され、水田やリンゴ、桑畑計約40ヘクタールが造成された。しかし、完了から15年ほどの間に後継者問題から離農する人が増え、リンゴ畑は更地になった。

 また、地区内でこうした遊休地が東京電力福島第1原発事故後、除染土の仮置き場に使用された。事故から9年、除染土の運び出しが本年度中に完了する見込みとなった。「事故後の暗いイメージから脱するような取り組みがしたい」。総合整備に参加した野地久夫さん(69)らが検討を重ね、栽培の負担が少ないソバの中でも珍しい赤そばの栽培を思い付いた。集落は周辺の農地から離れており、一般的な白いソバとの交雑を避ける必要がある赤そばの耕作要件にも合致した。

 野地さんらは「とうぎた赤そばまつり実行委員会」を設立。8月から赤そばの栽培を始め、初年度は50アールに作付けした。初の試みで雑草の除去に苦労したが、赤そばは順調に生育。茎が赤く色づき、赤い花も咲き始めている。色づき始めたソバ畑からは安達太良山や吾妻山、霊山も望める。

 「まず、農山村の魅力が詰まる地域を知ってもらいたい」。野地さんらはそんな思いから、花の見ごろに合わせ、そばまつりを初企画した。実を収穫するのはまだ先になるが、27日~10月中旬に畑を一般公開し、赤そば畑を自由に見学してもらう。時間は午前10時から午後5時まで。初日には開花式を行う。

 畑の作付面積を徐々に拡大し、2022年度には1ヘクタールまで増やす計画だ。野地さんは「将来は丘陵一面を赤い花が彩り、花を楽しむ人でにぎわう古里にしたい」と夢を語る。