菅首相「処理水、早期に方針」 就任後初原発視察、時期は明言せず

 
首相就任後初めての出張で本県を訪問し、東京電力福島第1原発を視察する菅首相。奥は3号機=26日午後(代表撮影)

 菅義偉首相は26日、東京電力福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水について「できるだけ早く政府として責任を持って処分方針を決めたい」と述べ、処分方法の早期決定を目指す考えを示した。首相に就任して初めて第1原発を視察した後、報道陣に明らかにした。

 東電の計画では、早ければ2022年夏にも敷地内のタンクで保管できる容量に達する見込み。菅首相は今回の視察を通じ、東電の担当者らから敷地の逼迫(ひっぱく)状況などの説明を受けた形だ。処分の準備には2年程度かかり、今秋にも処分方針が決定されるとの見方もあるが、具体的な決定時期について明言はなかった。

 処理水を巡っては、第1原発が立地する双葉、大熊両町議会が処分方法の早期決定を求める意見書を可決。一方、県内のほかの市町村議会では、海洋放出に反対する意見書を可決するなど対応が分かれている。こうした現状について、首相は「政府の責任の下、丁寧に説明する中で決断、方針を決めたい」と述べるにとどめた。

 「これからも復興に責任持つ」

 内閣の基本方針に東日本大震災や東京電力福島第1原発事故に関する記述がなかったことについて、菅義偉首相は「『福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし』が私の内閣としての基本方針」との見解を示した。

 組閣の日に全閣僚に渡した指示書にこの文言を盛り込んだと説明し「これからも福島、東日本大震災の復興に責任を持って政府として取り組む」と語った。

 具体的には、被災者の心のケアや産業・なりわいの再生が大事だとし、震災や原発事故の教訓などをウェブサイトを通じて発信する風化防止の取り組みを挙げた。帰還困難区域の方向性については「最終的には全て解除し、皆さんが住むことができるよう時間をかけてもやり遂げたい」とした。

 首相は第1原発を視察後、双葉町で20日にオープンした「東日本大震災・原子力災害伝承館」を訪問。広野町のふたば未来学園中・高では生徒と交流した。平沢勝栄復興相(福島高卒)と内堀雅雄知事が同行した。首相が第1原発を訪れるのは19年4月の安倍晋三前首相以来。菅氏の地方視察は首相就任後、初めて。