コロナ禍で音楽の大切さ再認識 ギター工房代表・佐藤さん

 
「コロナ禍の中で音楽の大切さを再認識」と話す佐藤さん

 「自分の生活の中で、音楽が重要な位置を占めていると、改めて強く認識しています」。福島県郡山市のギター工房代表佐藤亮太さん(61)は、コロナ禍で音楽祭や演奏活動など多くのイベントが制限された中で、文化的な活動の重要性をかみしめている。

 佐藤さんはオリジナルギター製作のかたわら自身も演奏家として活動。毎年9月に仙台市で開催されている定禅寺ストリートジャズフェスティバルには昨年まで20年連続で出演している。

 フェスは日本経済新聞の「ジャズフェス10選」で首都圏や関西のジャズフェスを押さえて1位になった人気イベントで、参加申し込みをしてもなかなか出演できない、演奏者にとって憧れの音楽祭。今年は第30回となる国内屈指の歴史を誇る音楽祭だが、コロナ禍のために中止となった。佐藤さんは「毎年、当たり前のようにあったものがなくなり、その大切さに気付かされました」と唇をかむ。

 佐藤さんは安積高で合唱、明治大でバンド演奏など常に音楽に親しんできた。大学卒業後は県区画整理協会に勤務し、東日本大震災後には被災地の区画整理も担当した。そんな中で「自分なりにふるさと福島へ恩返ししたい」と福島県産材のギター製作を志して50代半ばで退職し工房を設立した。

 「今回のコロナ禍で震災後に痛感した、当たり前のことが実はとてもありがたいことなんだ、ということを思い返しました」。ここ数年で集めてきた県産材もようやく乾燥工程が終盤を迎えた。佐藤さんは「来年こそ杜の都に福島の調べを流したい」と、外出自粛の工房の中で、一心にギターと向き合う日々を送っている。