風評対策、大部分求める 処理水意見聴取会、不安払拭不十分の声

 

 放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法に関する意見聴取会では、これまでに県や地元市町村、農業、漁業、全国の商工関係団体などから29団体43人が意見を述べた。大部分が風評対策の徹底やトリチウムの正しい情報を国内外に発信することが重要とし、政府に慎重な対応を求めた。

 意見聴取会は4月6日に始まり、県内外で開催。新型コロナウイルス感染症を受け、ウェブ会議も活用された。

 風評対策を求める背景には依然、国内外で残る風評被害への懸念があり「処理水の安全性や環境に与える影響はまだまだ理解されていない」(渡辺博美県商工会議所連合会長)、「国の具体的な風評対策が見えず、国民や諸外国の不安を取り除く情報提供が不十分だ」(大井川和彦茨城県知事)などの意見があった。

 処分に反対する意見者の多くも、新たな風評被害を危惧した内容だった。政府小委員会が海洋と大気(水蒸気)への放出を「現実的な選択肢」として海洋放出の利点を強調する報告書をまとめる中、野崎哲県漁連会長は「増産にかじを切ろうとする矢先で、海洋放出には反対」と表明。全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長も「漁業者の総意として絶対反対」と述べるなど、漁業者を中心に反発が根強い実態が改めて浮き彫りとなった。

 一方、海洋放出などの処分に一定の理解を示す意見もあった。

 全国旅行業協会の有野一馬専務理事は「処理水のタンクが並ぶ光景が事故の象徴的な映像として伝わり、観光に少なからず影響が生じている」と指摘。日本ボランタリーチェーン協会の中津伸一常務理事は「大気にせよ、海洋にせよ、安全であれば流せばいいのではないかというのが率直な考えだ」と述べた。

 県内の関係者からは国民的な議論が深まっていないとの指摘もある。江島潔経済産業副大臣は8日の意見聴取会後、記者団に「政府として今後の方針を出したことを受けて、また意見をいただくことで国民的理解も進むのではないかと思う」と語った。