国、近く処理水処分へ方針 意見聴取会、全漁連「放出に反対」

 

 東京電力福島第1原発で発生する放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法を巡り、政府は8日、東京都で県水産加工業連合会と全国漁業協同組合連合会(全漁連)から意見を聞き、両団体とも海洋放出に反対を表明した。会合は7回目。全国規模の漁業団体が参加したことで最終盤との見方もあり、近く政府方針が決定される可能性が出てきた。

 座長を務めた江島潔経済産業副大臣は会合後「可及的速やかに政府の判断を出さなければならない」と早期決定の可能性を示唆、次回の意見聴取会については「要否も含めて検討する」とした。

 処分方法を巡り、政府小委員会は海洋と大気(水蒸気)への放出を「現実的な選択肢」とした上で、海洋放出の利点を強調する報告書をまとめている。

 これを受け4月から始まった意見聴取会では、県内外の行政、農業、漁業など29団体43人が意見を表明、風評対策の徹底を求める意見が多数を占めた。有力視される海洋放出への賛否も分かれており、今後の政府判断が注目される。

 意見表明で全漁連の岸宏会長は、6月の総会で「海洋放出に断固反対」との特別決議を採択したことを踏まえ「風評被害の発生は必至で、わが国の漁業の将来に壊滅的な影響を与えかねない。漁業者の総意として絶対反対だ」と強調した。会合後、福島民友新聞社の取材に岸会長は「海洋放出に反対だ。それ以上に言及する話ではない。政府がしっかりと考えるべきだ」と述べた。ウェブ会議で参加した県水産加工業連合会の小野利仁代表も「本格操業を迎える時期。放出することだけでも風評が蒸し返されるのではないか。海洋放出には断固反対」とした。

 東電の計画では、早ければ2022年夏にも敷地内のタンクで保管できる容量に達する見込みだ。処分の準備には2年程度かかり、今秋にも処分方針が決定されるとの見方がある。経産省は意見聴取会に加え、一般の人からも書面で意見を集めており、江島氏は「できるだけ早く整理して広く示す。関係省庁と共有し、さらに議論を深めていきたい」と述べた。