「処理水」方針、海洋放出へ『最終調整』 意見聴取の終了示唆

 

 東京電力福島第1原発で発生する放射性物質トリチウムを含む処理水について、政府が処分方法を海洋放出に絞って最終調整していることが9日、関係者への取材で分かった。近く政府が処分方針を判断するとみられ、保管タンクが林立することで敷地が逼迫(ひっぱく)し、廃炉作業の課題となっていた処理水の取り扱いが大きな転換点を迎える。

 政府の小委員会は2月、海洋と大気(水蒸気)への放出を「現実的な選択肢」とした上で、放射性物質監視などの面から海洋放出の利点を強調する報告書をまとめている。政府は報告書や国内外での前例などを踏まえ、技術的な安全性や確実性を重視し、海洋放出に絞ったもようだ。

 ただ、4月から始まった関係者に対する計7回の意見聴取会では、新たな風評被害への懸念から漁業者を中心に海洋放出に反対する声が根強い。

 このため政府は処分方針を判断後、風評対策を具体化し、関係者の理解を得ながら調整を進めるとみられる。

 県内の市町村議会でも海洋放出への反対や風評被害防止、処分方法の早期決定を求める意見書がそれぞれ可決されるなど判断が分かれており、政府の対応が焦点となる。

 意見聴取会について梶山弘志経済産業相は9日の閣議後記者会見で「議論の整理が第一だ。必要があれば行うことになるが、7回開いた」と次回開催を明言せず、終了する可能性を示唆した。梶山氏は「これまでの会合や書面募集でいただいた意見をできるだけ早く整理し、政府が責任を持って早期に結論を出す」とも述べており、処分方針の議論は最終盤を迎えている。

 東電の計画では、早ければ2022年夏にも敷地内のタンクで保管できる容量に達する見込みだ。処分の準備には2年程度かかり、今秋にも処分方針が判断されるとの見方がある。