「海洋放出」10月内にも決定 処理水処分、第1原発敷地から軸

 

 東京電力福島第1原発で発生する放射性物質トリチウムを含む処理水の処分に関し、政府が海洋放出を決定する方針を固めたことが15日、関係者への取材で分かった。今月末にも決定する。2年後の2022年をめどに、第1原発敷地から放出を始める案を軸に調整。処理水を大幅に希釈するなどの風評抑制対策を徹底するほか、風評被害が生じた場合、賠償制度で対応することも検討する。

 関係者によると、近く経済産業相をトップとする廃炉・汚染水対策チームの会合を開き、海洋放出を前提とした基本方針案の議論に着手する見込みだ。政府小委員会は海洋と大気(水蒸気)への放出を「現実的な選択肢」とした上で、放射性物質監視などの面から海洋放出の利点を強調する報告書をまとめており、技術的な安全性や確実性を重視して海洋放出に絞り込んだとみられる。

 風評抑制対策として少量の放出から始め、トリチウム濃度は国の規制基準(1リットル当たり6万ベクレル)の約40分の1となる1500ベクレル未満まで希釈、年間に放出するトリチウムの総量も他原発と同程度を想定している。処理水にはトリチウム以外の放射性物質も残るため、多核種除去設備(ALPS)での再浄化を徹底し、国際原子力機関(IAEA)による監視態勢を強化。監視の透明性を確保するため、水産業者の参加も視野に入れる。

 風評被害対策は、新たな会議体を設置して具体化する見通しで、県や漁業団体などとの議論を想定。賠償制度は、客観的データによる被害の推認が可能なルール化を念頭に、被害者に寄り添った請求方法を協議する方向だ。

 本格操業を目指す水産業の生産・流通・消費対策に向けた予算確保や制度設計も進める。

 海洋放出には設備工事や原子力規制委員会の審査が必要なため、放出開始まで2年程度かかる見込み。政府は、漁業者を中心に海洋放出への反発が強い現状を踏まえ、方針決定後も必要に応じて説明する機会を設けるほか、国内外への科学的な根拠に基づく情報発信を強化するなど、理解の醸成に努める方針。

 東電の計画では、早ければ22年夏にも敷地内のタンクで保管できる容量に達する見込み。処分の準備に2年程度かかるため、今秋にも処分方針が決定されるとの見方が出ていた。