「保健の先生」...絶たれた女子高生の夢  神奈川・座間事件公判

 

 神奈川県座間市で起きた男女9人殺害事件で、殺害された本県の女子高生=当時(17)=らに関する審理が始まった裁判員裁判。21日に東京地裁立川支部で開かれた公判の検察側、弁護側の冒頭陳述では、女子高生と無職白石隆浩被告(30)がインターネットを通じて出会ってから約10日間で殺害へと至る経緯などが明かされた。

 女子高生の母親の話を元にした検察側の冒頭陳述によると、女子高生は母と兄と同居し、将来の夢は保健室の先生だった。母親に叱られ家出したこともあったが、すぐに帰っていた。

 ツイッターで不特定多数の女性と連絡を取り合っていた白石被告と女子高生が初めて接触したのは2017年9月18日。女子高生が「一緒に死にたい」「自殺する」などとツイート。白石被告がこれに反応し、同26日から無料通信アプリLINE(ライン)でのやりとりが始まる。女子高生は翌27日、高速バスで東京に向かい、28日に白石被告と合流。2人で白石被告の家で過ごした。

 牛丼やスイーツ、宅配ピザなどの飲食、タクシー代は全て女子高生が負担。検察側は白石被告が「女子高生から金を引っ張れるかどうか見極めができていなかったが、乱暴して口封じのために殺害し、所持金を奪うことを決意した」と指摘。殺害時に女子高生が抵抗したなどとして「(女子高生に)殺害の同意、承諾は全くない」と主張した。

 一方弁護側は、女子高生が家庭環境や容姿、恋愛の悩みを抱えていたと主張。周囲から見て過激なダイエットをしたこともあった。女子高生は日常的に「死にたい」と口にし、会員制交流サイト(SNS)でその旨を発信。同9月18日には「首つりか練炭希望です」とツイッターに書き込んだ。

 同27日には、友人に「首吊(つ)り士と一緒に死ぬ」「明日にはもうこの世にはいないよ」などと連絡していた。白石被告の家で過ごしていた際、友人にメールで「今新潟にいる」と実際とは違う場所を伝えた。弁護側は「(福島に)戻ろうとした痕跡はない」と主張した。

 公判は、裁判員の理解を助けるため、9人の被害者を死亡した月ごとに、3グループに分け審理している。求刑は被害者9人全員の審理後に行われ、判決は12月15日に言い渡される。