処理水処分方針、月内の決定見送り 経産相「さらに検討」

 

 東京電力福島第1原発で発生する放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法について、政府は今月中の決定を見送る方針を決めた。複数の政府関係者が23日、明らかにした。県内の自治体などに海洋放出を前提にした説明を始め、閣僚会議で正式決定する構えだったが、海洋放出への賛否や風評被害に対する懸念などの意見を整理した結果、さらに議論を深めることが必要と判断したもようだ。

 梶山弘志経済産業相は閣議後の記者会見で、27日にも決定されると一部で報道されていることについて「27日に政府方針の決定はしない」と否定。23日、首相官邸で開かれた廃炉・汚染水対策チーム会合での議論を踏まえ、「さらに検討を深め、適切なタイミングで結論を出していきたい」と述べた。

 会合では、4~10月に県内外の行政、漁業、農業など29団体43人から聞き取った意見や書面で集まった4011件の意見内容などを整理した。

 4011件の主な内容(重複含む)は、「漁業者に対する風評被害が確実に発生してしまう」「国民の合意が取れていない中で結論を急ぐべきではない」など、海洋放出への懸念が多数を占めた。このうち処理水の安全性への懸念が約2700件に上った。

 このほか、「分離技術ができるまで保管を継続するべきだ」など技術開発を求める意見が約2千件。「国民に正確な情報を分かりやすく発信するべきだ」といった情報発信の強化などを求める意見も約1400件あり、「世界中の原発からトリチウムは放出されているので、処理水も海洋放出するべきだ」との内容もあった。

 会合で梶山氏は、風評被害を最大限抑制する処分方法や経済対策を含めた具体的な風評対策、情報発信などを踏まえ、「何ができるかの検討をさらに深める必要がある」と述べ、各省副大臣らに対応を指示した。

 東電の計画では、早ければ2022年夏にも敷地内のタンクで保管できる容量に達する見込み。処分の準備に2年程度かかるため、今秋にも処分方針が決定されるとの見方がある。