「阿武隈急行」1年ぶり全線再開 台風被災...復旧のシンボルに

 
1年ぶりに全線がつながった阿武隈急行。復旧工事が完了したのり面の脇を走る列車。後方は阿武隈川=31日午前11時5分ごろ、伊達市梁川町舟生

 阿武隈急行は31日、昨年10月の東日本台風(台風19号)で一部区間が不通となっていた富野(伊達市)―丸森(宮城県丸森町)間の約15.4キロで運行を再開した。約1年ぶりに全線がつながった。

 丸森駅構内で行われた式典で、関係者や住民が再開を祝った。菅原久吉社長が「多くの支えがあって全線再開の日を迎えられた。沿線地域の活性化に取り組んでいきたい」とあいさつ、須田博行伊達市長は「住民にとって欠かせない交通機関。観光でも利用してもらい地域活性化につながれば」と期待を込めた。

 関係者がテープカットした後、午前10時42分に再開後の1番電車が出発した。

 同区間は線路に土砂が流れ込むなどして運休していた。再開後も一部工事が続けられるため、同社は本数を減らし、速度を落として運行する。

 阿武隈急行、待望の全線再開 沿線住民ら期待

 東日本台風(台風19号)の復旧工事の大部分が完了し、31日に全線がつながった阿武隈急行(伊達市)。「台風被害の復旧のシンボルに―」。約1年ぶりとなる全線での運行再開に、沿線の住民は期待を寄せた。

 全線開通を祝う式典が行われた丸森駅(宮城県丸森町)には多くの住民や鉄道ファンらが駆け付け、電車と記念撮影するなど思い思いに再開通を喜んだ。一番電車が出発すると、住民らは手を振って見送った。

 友人らと一番電車に乗り込んだ同町の女性(79)は「福島方面へ出掛けて、イベントや観光を楽しみたい」と笑顔だった。

 県内の沿線自治体でも、再開を喜ぶ声が聞こえた。宮城方面へ出掛ける際に利用してきたという伊達市梁川町の女性(70)は「1年間待ち遠しかった。被災前と同じように出掛けやすくなり、便利になる」と期待した。

 同社によると、台風により沿線の約50カ所で斜面の崩落や、線路、ホームに土砂が流れ込むなどの被害が発生。10月末現在で、47カ所での復旧工事が完了しているという。

 運転が再開された富野(伊達市)―丸森間では今後も、一部工事が継続されるため、平日は上下線各3本、土、日曜日と祝日は同各7本に本数を減らすほか、速度を約45キロに減速して運転する。本年度末の工事完了を予定している。