東日本国際大学長・吉村作治氏構想「日本のエジプト学拠点に」

 
「東日本国際大を日本のエジプト学の拠点にしたい」と話す吉村学長

 東日本国際大学長でエジプト考古学の第一人者、吉村作治さん(77)は同大に研究拠点を整備する構想を掲げる。拠点づくりに力を注ぐため9月に、いわき市民となった。吉村さんは「エジプト学で世界に羽ばたく人材を大学で育てる。いわきには『日本のハワイ』がある。『日本のエジプト』があってもいい」とユニークな発想を打ち出した。

 「(吉村さんが)本当にいわきに来ているんですか」。これまで市民の間で、ささやかれてきた。吉村さんは対面授業(ゼミ)とインターネットを活用した「eラーニング」の計10科目を受け持ち、度々いわきに足を運んできたが、市民には縁遠い存在だった。

 震災以降、講演などで訪れる機会が増え、被災地に足を運んだ。2012(平成24)年に同大の客員教授となり、副学長を経て15年から学長。70年余を過ごしてきた東京都から住民票を移した。

 きっかけは新型コロナウイルスの影響で外出自粛が求められ、都内から移動できなかったことだ。「いわき市民みんなが学生。誰でも受けられる教育」が同大の方針だが、いわきに来ることができず、歯がゆい思いをした。

 市民になるまで、市にふるさと納税を納めてきたが、返礼のある仕組みももどかしかったという。「古代エジプトが3000年もの間続いた理由に徴税システムの構築がある」と説明、街のために税金を納めることも転居の大きな理由だった。

 市民になってうれしいことがあった。タクシーを利用した際、「市民になってくれて、ありがとうございます」と声を掛けられることが多くなった。

 東京電力福島第1原発に近い大学として、米ハンフォードの経済再生を参考にしながら復興の道筋を探るプロジェクトも進めている。未来を創る上で過去の歴史や文化を見つめる重要性を指摘する。「エジプトだけでなく、浜通りの過去も検証して未来を創っていきたい」と前を向く。