若い力が「鳥獣害対策」リード!貴重な即戦力『20代ハンター』

 
わなを仕掛ける華学さん。獣道や餌場が狙い目だという

 天栄村で今年、鳥獣害対策専門の地域おこし協力隊として20代の若者2人が活動している。猟銃やわなによる捕獲のほか、野生鳥獣肉(ジビエ)の将来的な出荷制限解除を見据え、放射性物質検査にも力を注ぐ。イノシシなどによる田畑への被害に加え、担い手の高齢化や後継者不足が課題となる同村。「俺たちがやらなきゃ誰がやる」と若い力が鳥獣害対策をリードする。

 隊員は谷島(やじま)芳樹さん(24)=東京都出身=と華学(はなさと)光さん(23)=大阪府出身。谷島さんは父親の影響で20歳で猟銃免許を取得、クレー射撃で腕を磨いたほか、豊富な狩猟経験を持つ。一方、華学さんは心理学を学ぶため大学に通っていた頃、「成り行き」で参加した狩猟免許取得のための合宿で技術を学んだ。活躍の場を求めていた昨年夏ごろ、村の募集が2人を導き寄せた。

 10月中旬、うっそうと生い茂る山林に猟銃を携えた谷島さんと、華学さんの姿があった。道なき道を行き、以前仕掛けたわなを確認する華学さん。「掛かってないな」。獣道や餌場を狙い、わなを別の場所に埋める。最大150メートル先の標的も狙えるという谷島さん。ほんのわずかなぶれが命取りだ。木で銃を支え、息を凝らす。週に1頭、多いときには4、5頭を捕まえるという2人。10月下旬には本年度の捕獲数がイノシシやニホンジカなど40頭を超えた。昨年度の村全体の捕獲数の20%強に相当する数だ。

 県によると、県内全体で約170人の隊員がいるが、鳥獣害対策に取り組むのは6人のみ。全員が20代といい、若者の活躍ぶりが目立つ。村の対策団体の平均年齢は70歳超。谷島さんを含む13人が所属しているが、経験が物を言う世界だけに即戦力は貴重だ。村の担当者は「狩猟の負担軽減に向け、電気柵の普及や情報通信技術(ICT)導入などの面でも力を借りたい」と若い2人に期待する。

 村によると、原発事故に伴うジビエの出荷制限も影響し、被害は増加傾向にあるという。かつては村の旅館などでも振る舞われたジビエだが、現在は検査を経て廃棄せざるを得ない。

 「検査データの蓄積なしに再開はない。将来、まとめて発表したい」と華学さん。ジビエ関連の仕事を夢見る谷島さんは「地道に安全性を積み重ねるしかない。いつかできる日が来れば」と願う。「村の人たちの『ありがとう』が力」と2人。任期の3年間を全力で駆け抜ける覚悟だ。