「現代の名工」福島県から5人! 卓越した技能...揺るがぬ情熱

 
「伝統の技を使った良い家を一棟でも多く残そうと精進した」と話す菅野さん

 卓越した技能を持ち、その道で第一人者として活躍する技能者「現代の名工」をたたえる本年度の厚生労働大臣表彰が6日発表され、本県からは5人が選ばれた。

 本県の受賞者は染物職の渡辺達雄さん(77)=須賀川市、平半染工=と建築大工の菅野四郎さん(74)=二本松市、菅野建築、左官の松本次夫さん(72)=郡山市、マツモト工業、清酒製造工の殿川慶一さん(70)=二本松市、東日本酒造協業組合、蒔絵(まきえ)師の曽根英昭さん(69)=会津若松市、曽根蒔絵工房。

 表彰式は9日、東京都で行われる。新型コロナウイルス感染症の影響で規模を縮小し、本県の受賞者は出席しない。

 仮設の常識変えた工法 建築大工・菅野四郎さん

 「住みよくて暖かい木造の仮設を造ってあげたい」。東日本大震災と原発事故後、プレハブの仮設住宅を見てそう思った。県建築大工業協会副会長の時だ。入居者の事情を知る人に聞くと「プライバシーがなくつらい」と言う。ならば壁伝いの長屋でなく、一軒一軒を離せばいい。一晩で仕様を考え、県などに提案した。

 それが「福島方式」といわれる木造の杉板パネル工法。協会員が結束し200棟ほどを提供。入居者に「隣の声が聞こえなくて静かでいい」と喜ばれた。「住んだ人に『住みよい』と言われると、大工冥利(みょうり)に尽きる」。それが60年、建築大工を続けた理由だ。

 二本松市(旧岩代町)出身。中学を卒業後に大工の父に弟子入り。上京し宮大工の腕を磨いた。結婚を機に菅野建築を創業。「良い木の家を多く残したい」と、丸桁入母屋化粧垂木造りの住宅を建築した。木の特徴を見極め、寸分の狂いなく木を使う力が高く評価される。今は低コストのログハウス開発に没頭する。「多くの市民にログハウスを提供するのが最後の目標だ」