南相馬で初のワイン醸造挑戦 三本松さん「小高の産業底上げに」

 
収穫直前のブドウを見つめる三本松さん

 南相馬市で初のワイン醸造に向けた挑戦が始まった。同市小高区小屋木地区にある「コヤギファーム」の三本松貴志さん(47)はワイン用ブドウ栽培を始め、10月に収穫した。「ワイン醸造を通して地域に活気を取り戻したい」。地域活性への期待を込めてワイン造りに取り組む。

 三本松さんは2011(平成23)年1月に地元で酪農業をしていた父の後を継いだ。しかし2カ月後に東日本大震災が発生、乳牛約60頭を置いたまま南会津町への避難を余儀なくされた。

 その後、南相馬市に帰還したが、酪農ができる状態ではなく、何とか土地を活用できないか考えていた。ワイン醸造に目を付けたのは16年。山形県に旅行した時に立ち寄った高畠ワイナリーが観光客らでにぎわっている様子を目の当たりにし、地元でもこの光景が見たいと思うようになった。

 しかしワイン醸造に関する知識はゼロ。そのため、ワイン用のブドウ栽培が進んでいる川内村や富岡町でボランティアとして作業をしながら、ほぼ独学で栽培の知識を身に付けた。

 三本松さんによると、ブドウは通常、苗を植えると育つまでに3年かかり、4~5年の間で収穫する。しかし、三本松さんが育てるブドウはたった1年で収穫できるほどに実をつけた。原因は分かっていないが「牛の堆肥などを使ったことが功を奏したのかもしれない」と笑顔で語る。

 まだ自身の醸造所を持たないため、収穫したブドウは岐阜県の醸造所に依頼してワインにしてもらう予定だ。

 「5~6年以内には自分の醸造所を建てたい」と考えている三本松さん。「ワインに合う食べ物も地域の人たちと連携して生み出していきたい。小高の産業の底上げにつながれば」と先を見据える。