人々結ぶ祭り、写真に 岩波さん「紡ぎ音」が入江泰吉記念賞

 
「祭りは人々を結び付ける最後の手段だ」と語る岩波さん

 会津美里町在住のフォトジャーナリスト岩波友紀さん(43)の組み写真「紡ぎ音(ね)」が、写真文化の発信を目指す第4回入江泰吉記念写真賞を受賞した。作品は、東日本大震災、東京電力福島第1原発事故で被害を受けた東北沿岸部で撮影した祭りの写真99枚からなる。震災から10年を迎えようとする今、岩波さんは「これで終わりではない。変わらず見続けていく」と語った。

 同賞は奈良を舞台に活躍した写真家入江泰吉の功績を記念し、2年ごとに表彰が行われている。受賞は奈良市が10月27日に発表した。受賞作品は来年2月に写真集として刊行される。

 岩波さんは長野県出身。読売新聞の写真記者として震災後の沿岸部を巡った。その中で心動かされたのは、がれきが残る町の中でも続けられていた祭りだった。「神聖さ」を感じる一方で「こんな時にどうして、祭りをするのだろうか」と自問した。2014(平成26)年には「一つのテーマに長く携わり、完成させたい」と退社。福島市に住みながら、沿岸部へと通った。

 作品は、撮影した写真を物語を紡ぎ出すようにして組み合わせて作り上げた。南相馬市小高区の村上の田植え踊り、いわき市久之浜町の見渡神社の例祭などが収録されている。祭りに携わる人々にレンズを向け続けるうちに、問いへの自分なりの答えも導き出した。「祭りは人々を結び付ける最後の手段だ」という。

 受賞を機に「写真で伝えたいことが、どこでも通じることが分かった」という岩波さん。今後は、昨年移住した会津美里町を拠点に、伝統や文化が色濃く残る奥会津に焦点を当てた連作写真に挑むつもりだ。