須賀川・松明あかし...『一本入魂』 11月14日・無観客で実施

 
新型コロナ対策を講じながら松明の製作に励む会員ら。佐藤さんは「見ていただけないのは残念だが、一本入魂で作った」と力を込める

 慰霊の祭りの伝統をつなぐ―。須賀川市の翠ケ丘公園五老山で14日に行われる伝統の火祭り「松明(たいまつ)あかし」は新型コロナウイルス感染症防止のため規模を縮小、松明1本のみを立て無観客で執り行う。「見ていただけないのは残念だが、一本入魂で作った」と製作を手掛けた松明をもりたてる会会長の佐藤貴紀さん(46)。さまざまな困難を乗り越えつないできた鎮魂の祈りと、未来への希望を込めた炎が燃え立つ。

 松明あかしは、戦国時代、須賀川に攻め入った伊達政宗と須賀川城主・二階堂家の両軍勢の合戦で命を落とした人々への弔いに由来するとされる行事。400年以上の歴史がある。市などでつくる実行委が、伝統を絶やすことなく継承しようと、関係者のみでの実施を決めた。例年は約30本の松明が晩秋の夜空を照らす。五老山に長さ約10メートル、重さ約3トンの大松明を担ぎ込む行列などで盛り上がるが、今年は行わない。松明をもりたてる会は、毎年この大松明を作る大役を担ってきた。

 同会によると、今年の松明は長さ約7メートル、重さ約1.2トン。9月中旬から11月初めにかけて市ふれあいセンターで製作した。活動時にはマスクを着用、昼食は向かい合わずに食べるなど、感染症対策に万全を期した。苦難は過去にもあったが、乗り越えてきた。昨年10月の東日本台風(台風19号)では、材料の竹やかやなどの採取場所となる市内の阿武隈川沿いが浸水。新たな採取場所を探し、製作にこぎ着けた。東京電力福島第1原発事故では、材料に放射性物質が含まれているとして使えず、県外から提供を受けた。

 「材料は何とかなっても、人ありきの活動。これまでとは違う苦労があった」と今回の製作を振り返る佐藤さん。「松明あかしはあくまで慰霊祭。合戦だけでなく、コロナをはじめあらゆる犠牲者を弔いたい」と願う。完成した松明は、当日にクレーンで立てるという。

 一般観覧できず HPで後日配信

 当日、五老山は入山規制されるため一般観覧はできない。二階堂神社で御神火奉受式(ごじんかほうじゅしき)を行った後、点火する。点火時間などは「3密」を避けるため非公開。市は、松明の製作から本祭までの様子を映像に記録し、後日ホームページなどで配信するとしている。