伝統継承、1本に思い 須賀川・松明あかし、無観客で実施

 
伝統の継承に向けた思いや鎮魂の祈りを込めた松明あかし=14日午後7時25分ごろ、須賀川市・翠ケ丘公園五老山

 須賀川市伝統の火祭り「松明(たいまつ)あかし」は14日、同市の翠ケ丘公園五老山をメイン会場に行われた。例年は市内外の団体が手掛けた約30本の松明がそろうが、今回は新型コロナウイルス感染拡大防止のため規模を縮小し、松明は1本のみとした。点火された松明は、関係者の伝統継承に向けた思いや鎮魂の祈りをのせ、晩秋の夜空を照らした。

 須賀川市などでつくる実行委の主催。松明あかしは、戦国時代、この地の合戦で命を落とした人々の弔いに由来するとされる行事で、400年余りの歴史がある。コロナ禍を受け、実行委は伝統を絶やすことなくつなごうと、行事を最小限にとどめ、無観客での実施とした。

 今回立てられた松明は長さ約7メートル、重さ約1.2トンで、市民ら有志でつくる「松明をもりたてる会」が製作。感染症対策を講じながら、約1カ月半をかけて完成させた。五老山には、例年参加している町内会や小中学校などの法被を並べた。離れていても伝統行事への思いを共有しようと、実行委が各団体から借り受けた。

 松明に火が放たれ、燃え盛る炎を見つめる関係者。感染症が一日も早く収束し、地元の秋の風物詩ににぎわいが戻るよう祈った。「いろいろな団体が松明を持ち寄り開催するのが当たり前だと思っていた。無観客がこんなにも静かだとは」と同会会長の佐藤貴紀さん(46)。「一本でも立てて、今年も続けられたのはありがたい。来年こそいつも通り開催できることを願うばかりだ」と語った。

 市は、松明の製作から本祭の様子を映像に記録、後日、市のホームページなどで配信するとしている。