「蔵カフェ」挑戦!老舗旅館5代目・嶋崎さん いわき湯本温泉

 
アートや歴史に触れることができるカフェで再出発する嶋崎さん

 いわき市湯本温泉の老舗旅館「斎菊」5代目の嶋崎剛さん(62)は、旅館隣の倉庫を改装して蔵カフェ「備中屋本家斎菊」をオープンした。新たな挑戦のスタートラインに立った嶋崎さん。「歴史ある斎菊を残したかった。いろいろな楽しみ方ができる空間にしたい」と意気込みを語った。

 嶋崎さんは昨年、震災の影響で経営不振となった旅館を「斎菊」の名前のまま違う人に託した。「生きるために続けることが難しいと判断したが、先祖に申し訳ない気持ちで心苦しかった」と振り返る。

 嶋崎さんの手元には、絵師だった2代目で曽祖父の故斎菊勝之介さんの日本画や書物が残った。江戸末期から受け継いできた歴史を後世につなぎたいと、旅館の倉庫として使っていた2階建ての蔵に手を加え、2年半かけて改装した。

 2階に旅館で培った料理技術を生かした手作りのベイクドチーズケーキやコーヒー、アルコールなどを提供するカフェスペースを設け、曽祖父が残した絵画などを展示している。1階はイベント会場で、嶋崎さんが集めた画集などの書籍が並んでおり、蔵全体で芸術や歴史に触れる空間で過去、現在、未来を感じることができる。

 さらに現代の表現者が文化や芸術を発表できる場をつくりたいとの思いから、2階に展示スペース「世界一小さな美術館トマソン」を設けた。トマソンは「無用なものでも存在していい」という芸術上の概念から引用した。

 嶋崎さんは「まだ試行錯誤の状態」としながら「経済的な価値ではなく、まだ知られていない音楽や芸術に少しでも光を当てることができる場所にしたい」と話す。営業日は木~日曜日で、時間は午前11時~午後6時(土、日曜日は同5時)。問い合わせはカフェ(電話0246・60・8401)へ。