「真の真実」遠く 座間事件・死刑判決、被告男...まるで人ごと

 

 極刑の宣告にも身じろぎ一つしなかった。神奈川県座間市で本県の女子高生=当時(17)=を含む9人を殺害したとして15日、死刑判決を言い渡された白石隆浩被告(30)。計24回、77日間に渡った裁判の中では、後悔の念を語ることはあっても反省の色は見せず、被害者や遺族への謝罪も一部にとどまった。

 「被告人を死刑に処する」。15日午後3時20分。矢野直邦裁判長が判決を言い渡しても証言台の白石被告は、じっと立ったままだった。約1時間20分にわたる判決理由の言い渡しを証言台前に座って聞き、握った両手を一度も膝の上から動かさなかった。「聞こえましたか」と、裁判長に問われ、白石被告はようやく「はい」とうなずいた。

 一連の裁判、白石被告は動揺や悲しみなどの感情をほとんど見せなかった。被告人席にもたれ掛かり、腕を組みながら寝ているように見える場面すらあり、被害者遺族の悲痛な叫びにも表情を変えなかった。

 その半面、証言台では多弁だった。遺族らが見つめる中、まるで人ごとのように残忍な事件の経緯をあっさりと、かつ詳細に話していく。殺害は我欲を満たすため。被害者の気持ちを考えることはと問われても「なかった」と語った。

 公判の中で犯行期間とされた約2カ月間を「自分の快楽をずっと追い求めた生活だった」と語り、被害者の一人である本県の女子高生に対しても「殺す必要は全くない子だった」と謝罪する一方、「(女子高生が)寝ている姿を見て乱暴したくなった」などと自分本位な考えを並べた。法廷で「後悔」という言葉は口にしたものの謝罪は一部の被害者や遺族にとどまり、罪への意識より自己中心的な考えと身勝手さばかりが目立った。

 公判では殺害時の状況を裏付ける証拠がほぼ白石被告の供述しかない中、「方針が合わない」と死刑の回避を狙う弁護側の質問に答えない場面もあった。「(裁判後に)平穏な生活が送れるのなら、死刑でもいい」。そう言って検察側の主張をそのまま受け入れた白石被告。動機や被告の内面の解明など、遺族が求める「真の真実」に近づけたとは言い難く、歯がゆさが残った。