洋上風力発電「全撤去」正式表明 楢葉沖、見通しの甘さ指摘も

 

 経済産業省は16日、楢葉町の沖合に設置した浮体式洋上風力発電施設を不採算を理由として、来年度に全基撤去する方針を正式に表明した。同事業にはすでに約620億円を投じており、撤去にはさらに50億円程度を要する見通し。国が東京電力福島第1原発事故からの本県復興の象徴に位置付けた一大事業は、商用化の見通しが立たないまま頓挫することになった。

 撤去方針は、同日に福島市で開かれた漁業関係者らとの会合で説明した。浮体式洋上風力発電施設は、国が2013(平成25)年から、楢葉町の沖合約20キロに3基を順次設置した。最大の出力だった7メガワットの1基については、6月に不採算を理由にすでに撤去されていた。今回は、残りの出力5メガワットと2メガワットの2基を撤去することを決定した。

 2基は7メガワットの発電施設の撤去後も、商用化に向けた実証実験を続けていた。だが、4~11月の設備利用率は機器の不具合などが原因でそれぞれ約21%と約28%にとどまり、一般的な商用化の目安とされる30%を下回る状況だった。

 国は8、9の両月、撤去費を確実に準備できることなどを条件として、払い下げを希望する事業者を募った。しかし、応募した2事業者は、陸上送電線や海底ケーブルのみの譲渡を求めたため交渉が決裂。国は不採算による本年度での事業中止に追い込まれた。

 会合に出席した漁業関係者からは「復興の象徴と位置付けていたが、事業見通しが甘かったのではないか」「膨大な費用と長年の時間が無駄になった」などと、事業の妥当性を疑問視する声が上がった。