聖火リレーまで3カ月...準備に悩む自治体 感染対策や時間不透明

Jヴィレッジ(楢葉町、広野町)を出発する国内聖火リレーまで25日で残すところ3カ月。新型コロナウイルスの感染拡大は続き、東京五輪・パラリンピック組織委員会もいまだ感染防止対策を含む具体的な実施方法を示していない。東日本大震災から復興した姿を発信しようと、ランナーの受け入れや歓迎行事を用意する県内自治体では、具体的な準備に取り掛かれず、担当者は頭を悩ませる。
「準備を始めるための基本的な情報が何も入ってこない。そもそも何時にスタートなのか」。聖火リレー初日の来年3月25日、聖火の終着地となる南相馬市の担当者はそうぼやく。
市は、聖火到着を祝うセレブレーションの会場で相馬野馬追の騎馬武者がランナーを迎えたり、復興発信のため福島ロボットテストフィールドなどの取り組みを紹介するブース設置を計画したりする。しかし「ボランティアを集めるのも1カ月以上はかかり、新型コロナ対策に対する方針も不透明。動くにも動けない」(担当者)と頭を抱える。
同様にリレーが通過する県内自治体では準備が進んでいない。2日目の最終地点となる会津若松市はレーザー光線を使った「光の演出」などを企画したが、直前で延期となった。
来年の聖火リレーは簡素化が検討され、到着時間も早まる可能性があることから、担当者は「明るくなれば、演出も変わってしまう。まずは正確な時間を教えてほしい」と気をもんでいる。
県内最終地点である郡山市の担当者は新型コロナの感染対策を悩む。「3密」回避のための人の整理など検討項目は多い。担当者は「来年3月の感染状況が分からない。見えない敵とどう闘うか検討しなければならない」と話した。
聖火リレーが出発するJヴィレッジ。今年3月には出発式典の会場設営を終え、リレー当日を迎える直前で延期が決まった。Jヴィレッジの愛川雄一郎さん(46)は「頭が真っ白になった」と当時を振り返るが「それでも(準備の)ノウハウは蓄積された」と前を向く。年明けには聖火リレーの準備が再始動する。愛川さんは「感染対策を徹底しながら成功させたい」と力を込める。
延期前ランナー維持へ
東京五輪・パラリンピック組織委員会は、聖火リレーのランナーについて基本的に延期前のランナーを維持する方針だ。一方で政府は観客が「密」になることを避けるため、著名人ランナーの参加の見送り案も検討している。
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