仕事が休業...「農業」注目! 『3密』ならず1人でも就業可能

 
真心を込めて無農薬野菜を育てる半沢さん。SNSを使って積極的に情報を発信している

 仕事が休業になったため、興味があった農業を始めてみたい―。新型コロナウイルスに伴う雇用環境の変化を受け、「3密」にならず1人でも就業可能な農業への注目が集まっている。一部の自治体には「農業を始めたい」といった声が例年以上の件数で寄せられていて、担い手確保に向け、取り組みを強化する自治体の動きも出てきた。

 「ずっと家にこもっているのがストレスだった」

 郡山市出身の半沢美穂さん(32)は、2018(平成30)年に県外から同市にUターン、アパレル店員として働いていた。しかし、新型コロナで状況が一変、休業要請を受け仕事を休まざるを得なくなった。

 空いた時間を有効活用しようと考えた半沢さんは、以前から興味があった農業に着目。実家の休耕畑を活用し、5月に農業を始めた。「いろは農園」と名付けた畑で、家族と一緒にトマト、オクラ、ナスなどを季節に応じて生産している。

 郡山市によると、新型コロナの感染拡大を機に、半沢さんのように就農したいとの相談が増加。市農業政策課によると、3~5月は例年の3倍となる16件の相談が寄せられた。

 こうした状況を受け、市は新規就農への不安払拭(ふっしょく)などを目的に、支援制度や就農までの流れを説明する動画やガイドブックを作成することを決定。山口勇農林部次長・農業政策課長は「制度を認知してもらい、就農への具体的なイメージをしてほしい」と期待を込める。

 農業への関心が高まる一方で、外食産業の需要の変化や「対面での営業がかけにくい」など、新型コロナの影響は農業にも広がる。半沢さんも、販路拡大や生産性向上などを課題に感じている。

 そこで、半沢さんが取り組むのは会員制交流サイト(SNS)を利用した販路開拓だ。「生産の様子や作り手が分かれば、安心しておいしく感じるのでは」とインスタグラムを開設、作業風景などを投稿している。

 農園の売りである無農薬を強調し、発信力がある事業者などとつながることで、徐々に知名度が向上。消費者から「おいしい。リピートします」などの反響があることで、やりがいにもつながっているという。今後は、営業時間外でも予約客が購入できる非接触型の野菜販売も検討している。

 「新しい農業」模索

 休業要請が解除されたため、現在はアパレル店員との「兼業農家」という半沢さん。「いろは農園は卵からかえったひよこの状態。いろんな方から学んで吸収していきたい」。アフターコロナを見据えた「新しい農業」の模索が続く。