自動運転に応用、高速AIチップ開発へ 会津大が共同研究着手

 

 会津大は企業などと連携して、開発競争が激化する人工知能(AI)搭載の小型機器「AIチップ」の開発に着手した。開発するのは、インターネットを通じてAI搭載のコンピューターで情報を処理する「クラウドAI」よりも高速処理が可能な「エッジAI」。必要な情報だけをクラウドに送るため、データ流出の心配が少ないなど安全性の高さが特長だ。同大は、自動運転技術の進展につながる、としている。

 エッジAIはIoT(モノのインターネット)の普及に不可欠な技術。開発を手掛けるのは画像解析などを専門とする富岡洋一上級准教授(39)で、「交通事故や渋滞がない社会を実現させたい」と思い描く。富岡准教授によると、自動運転車は取り付けられたカメラやセンサーが取得したデータをAIが自ら解析して状況を判断、車を動かす仕組み。この作業をクラウドAIで行うと、膨大な画像データを随時クラウドに送信し、解析結果を車に戻す必要があり、時間差が生じる。エッジAIがその場で瞬時に判断することで通信の時差がなくなり、クラウドAIに比べて安全に走行できるという。

 さらにエッジAIとクラウドAIを連携させ「カーナビゲーションシステム」に設定された走行経路を組み合わせることで、渋滞を避ける経路を選ぶこともできる。富岡准教授は「バスが運行していない地域での活用も期待される」と交通弱者の解消も目標に掲げる。自動運転車以外にも、製造業の現場で不良品を見分けたりするなどの使い方が考えられるとしている。

 実用化には低い消費電力でも高い情報処理能力を発揮できるよう省エネルギー化する必要があり、沖電気工業、綜合警備保障(ALSOK)などと共同開発している。事業は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに採択された。

 省エネのほか、どれだけ高度な情報処理能力をエッジAIに持たせられるかも課題となる。現在は3センチ四方のチップを使って開発を進めているが、製品化が実現した後も、より高性能なチップ開発に向けた研究を続けていく。富岡准教授は「コンピューターの計算性能はこの20年で大きく進化した。これからの20年でAIを大きく進化させることができれば、今は思い付かないような活用法もできるようになる」と話した。