『空飛ぶクルマ』...夢は目前 人乗せて空を移動!23年実用化へ

 
スカイドライブCEO・福沢知浩氏

 浜通りの産業振興を目指す福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想で、中核をなすのが福島ロボットテストフィールド(南相馬市、浪江町)。入居する企業Sky Drive(スカイドライブ、東京都)はロボットテストフィールドに研究・開発拠点を設け、人を乗せて空を移動する「空飛ぶクルマ」の開発を進めている。2023年の実用化が目標で、昨年は最新型の試験機「SD―03」を公開するなど、これまでSF映画でしかなかった夢の実現に向け、一歩一歩近づいている。

 最高経営責任者(CEO)の福沢知浩氏(33)は「復興の中心地でもある福島から新しい移動手段が生まれていくことに意義がある。空飛ぶクルマを通して災害時の支援などにも貢献していきたい」と見据える。身近な場所で離着陸できる「空飛ぶクルマ」。移動手段はもちろん観光、救命救急など、さまざまな場面での活躍が期待される。

 トヨタ自動車などの支援を受ける技術者でつくる団体「カーティベーター」が18年7月に設立した。団体に所属する自動車や航空機、小型無人機「ドローン」の技術者が機体の研究・開発に携わる。活動拠点は福島県のほか、東京都と愛知県。19年に福島ロボットテストフィールドの研究棟に入居し、プロペラ部分の研究・開発や機体の実証実験などに取り組んでいる。

 空飛ぶクルマは電動モーターで四隅に配した八つのプロペラを回転させて飛行する。将来的に垂直方向での離着陸と前後での2人乗り、自動車並みの大きさで地面を走行することを想定している。

 昨年夏、愛知県で試験飛行した「SD―03」は1人乗りで、スポーツカーのような流線形のデザインが特長。全長、全幅はそれぞれ約4メートルで全高約2メートル、重量約400キロ。最高時速は50キロ程度で、5~10分の飛行が可能だ。

 同社は空飛ぶクルマのほか、人口減少に伴う労働力不足を見据え、重い荷物を運べるドローンの開発も進める。名称は「カーゴドローン」。従来のドローンとは違い建設、災害現場での物資運搬が目的。現在は30キロを載せることができ、将来的に100キロ以上の積載を目指している。

 誰もが空を飛べる時代を目標に、空飛ぶクルマの量産、自動運転化などを進める方針で、「福島発」の技術が世界に広がる未来が近づいている。

 スカイドライブCEO・福沢知浩氏に聞く 「新しい移動が日常になる」

 福沢知浩CEOは、空飛ぶクルマについて「将来的には自動車と同じ役割になる」と語った。

 ―空飛ぶクルマとはどういったものか。
 「私たちは日常的に空を移動できる手段となるものを"空飛ぶクルマ"と呼んでいる。ガソリンを使わず電動モーターで動くため、部品が少なく騒音も小さいことなどがメリットだ。事前に移動ルートをプログラミングで設定することを想定しており、操縦士が不要になる」

 ―2023年の実用化へ課題は。
 「ハード面では現状の1人乗りから2人乗りへの対応と雨風対策など安全性・信頼性の向上が課題であり、解決するための開発に取り組んでいる。ソフト面では、運用に向けた制度や体制づくりなど法整備が必要で国の協力も不可欠だ。さらに自由な空の移動を目指して、電気バッテリーで動く機体の充電場所の確保と開発、離着陸場の整備も必要になってくると考える」

 ―今後の展開を聞きたい。
 「実用化した当初は指定ルート間を往復するだけになる。今後、開発が進めばどこへでも移動が可能なものになっていく。空飛ぶクルマの時代になることを目指して、安全性などのさらなる周知を進め、一人でも多くの人が乗りたいと思えるようニーズを増やしていきたい」