「車椅子」送迎...安全に!車載型を導入 郡山・太田福祉記念会

 
車載用に設計された車椅子(右)と一般的な車椅子。車載用はシートベルトで骨盤をしっかり固定しやすいなどの利点があり、ヘッドレストなども備えている

 郡山市で特別養護老人ホームを運営する太田福祉記念会は6日、車椅子利用者を車で安全に送迎するため「命を守る車椅子プロジェクト」を本格始動した。全国で車いす利用者の送迎中の死亡事故が後を絶たない状況を受け、同会は車載用に設計された車椅子を導入、職員への技術指導とマニュアル作りを始めた。

 同会によると車椅子で車に乗る場合、座席と同じように、福祉車両に備えられた「3点式」のシートベルトを着ける。一般的な車椅子は構造上、衣服の巻き込みを防ぐ肘掛け下の「スカートガード」という板が邪魔になり、腰部分のシートベルトを骨盤にしっかり掛けられない場合が多い。利用者の状態により形状が多様な車椅子には、シートベルトやヘッドレストなどの安全対策に関し座席ほど細かな義務付けもないという。

 同会によると、2019年に富山市で送迎車の衝突事故が同じ日に2件相次ぎ乗車していた高齢者のうち車椅子利用の2人が亡くなった。シートベルトが骨盤に掛かっておらず、衝突時にベルトが腹部を圧迫したことが原因とみられ、同会はこの事故をきっかけにプロジェクトに乗り出した。

 昨年9月、職員6人によるプロジェクトチームを設立。安全対策などについて調査を重ね、国内自動車メーカーが製造する「車載型車椅子」の導入を決めた。2月中旬までに、同会所有の全送迎車で利用できるよう24台の車載型車椅子をそろえる予定だ。

 導入する車椅子は、シートベルトで骨盤などをしっかり固定できる設計で強度もある。ヘッドレストや座面を下げられる機能もあり、安定性を保てるという。同会は今後、通常の車椅子と車載型車椅子を場面に応じて使い分けていく方針。

 一方、同会によると、車載型車椅子を製造しているメーカーは国内にほとんどなく、認知度も低い。導入した車載型車椅子は1台約20万円で、通常の車椅子の10倍ほど。コスト面の負担も大きいが、佐々木俊仁常務理事・法人事務局長(72)は「預かった命を守ること以上に大切なことはない」と話す。