「電動車の使用済みバッテリー」寿命を短時間で判断 再利用を促進

 

 東洋システム(いわき市)が、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)など電動車に搭載され充電して使うバッテリー(二次電池)の性能を短時間で評価できる技術を開発した。脱炭素社会への転換が進み、電動車の普及が見込まれる中、回収したり、使い終わったりした二次電池の再利用が課題となっており、同社は将来的な地球や生態系への環境影響を考えたライフサイクルアセスメント(LCA)の産業構築につながる技術としている。

 同社は「電池寿命」の予測や電池の劣化を診断する技術を使った二次電池の試験装置や評価システム技術で世界的シェアを誇る。電動車に搭載されているリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池の性能を評価するには通常3~4時間かかるが、同社は新たな解析技術により、5分以内での評価時間の短縮を可能にした。

 これまでは実際に100%充電してから放電し初期値と比較することで電池残量を計測していたが、新技術では、さまざまな電池のデータを基に劣化した電池の計測値と比較することで寿命予測ができるようになった。コスト削減効果も大きく、国際特許を取得した。

 自動車のランプやタイヤなどの部品一つ一つに国の型式認証制度が適用されており、バッテリーを分解して再利用する場合も再認定が必要。認定試験のたびに破壊試験などを繰り返す必要があり、コストも割に合わず、障壁になっていた。

 車に搭載されている電池は残量が8割程度になると交換が必要になる。同社の技術により、回収した二次電池の残量を正確に把握でき、そのまま利用できるか、分解して部品を再利用した方がいいのかを容易に判断できるようになった。

 そのため性能評価後に中古車としてそのまま市場に再投入したり、二次電池を分解して蓄電システムなどで利用したりするなど、リユース、リサイクルの動きが広がったという。同社は、自動車ディーラーの店舗照明用電源としての再利用など実証を進める予定だ。

 二次電池を巡っては、トヨタがプリウスから回収した二次電池を使い定置型蓄電システムを開発するなど、取り組みが加速化している。同社は、いわきバッテリーバレー推進機構に加盟しており、生産から廃棄、再利用までの流れの中で二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えながら、エネルギーの有効活用を促した社会実現を後押しする考えだ。庄司秀樹社長(59)は「回収バッテリーの状態が正しく評価できるようになったことで、2次利用時に高品質、高性能維持という新たな付加価値を生み出し好循環のきっかけになる」としている。