思いはひとつ『夢のクシ』開発!大熊から移転の会社+会津の技

 
「あいくし」の試作品。右は漆や蒔絵を施し、桐箱と会津木綿で包装する最高級タイプ

 東京電力福島第1原発事故で大熊町から会津若松市河東町工業団地に工場を移した製造会社サンブライトと、会津塗などの伝統工芸を受け継ぐ地元企業が「チームAid―U(エイド―ユー)」を結成、それぞれの強みを生かし新製品の開発を進めている。全体を緩やかにカーブさせ、優しい使い心地を実現したクシ「あいくし」を2~3月に発売する予定。新製品には震災後に生まれた絆が息づいている。

 「力を合わせればここまでできるということを証明したい」。チーム代表も担うサンブライトの渡辺忍社長(47)は思いを語った。原発事故から2カ月後に「真剣に話を聞いてくれた」という会津若松市への工場移転を決め、今や67人の社員のうち50人以上が会津出身者。そのため「避難企業として扱われるのには抵抗がある」というが、会津で成長させてもらったという思いに揺るぎはない。

 鏡筒などのカメラ部品を中心に納入するが、これまで自社商品はなく、「一つの夢」として、会津の企業と融合した新製品の開発に乗り出した。

 チームには漆塗装のユーアイヅ(会津若松市)、桐(きり)製品製造の会津桐タンス(三島町)、会津木綿の山田木綿織元(会津若松市)などが参加。クシの形状はアドバイザーのヘアスタイリスト傳(でん)礼央那(れおな)さんとともに試行錯誤を繰り返し、頭の丸みに合わせたカーブを決めた。角がなく丸みのある歯に仕上げ、歯当たりの滑らかな髪と頭皮に優しい形を完成させた。

 素材にもこだわり、石油由来ではなく、植物由来のプラスチック素材とすることで自然環境に配慮した。

 あいくしは3種類。プラスチック素材は1000円前後を想定する。プラスチックに漆を塗り滑らかさを増した製品は3000~5000円前後を想定。実用金属の中で最も軽いマグネシウム合金を総削り出しで成形、漆や蒔絵(まきえ)で加飾を施した最高級の製品は10万円前後の想定で、会津木綿を中敷きにした桐箱に収め、さらに会津木綿の袋に入れる。

 「マグネシウム合金は美顔ローラーなどにも使われており、呼吸する漆との融合は新たな可能性を感じさせる」と渡辺社長。渡辺敏康製造課長はカーブの試行錯誤を振り返り、「頭皮にフィットする。髪を効率よくとかすことができる」とPRする。

 会津のものづくりへの関心を高めてもらうため、会津若松市の小学1~3年生を対象にロゴデザインを募集中。「受け入れてくれた会津への恩返しになれば」。渡辺社長はあいくしに気持ちを込める。