大熊町診療所長に山内氏 南相馬市立病院医師、2月2日に開所

 
インタビューに応じる山内氏=大熊町診療所

 大熊町大川原地区で2月2日に開所する町診療所の所長に、福島医大医学部地域・家庭医療学講座、南相馬市立総合病院総合診療科に所属する医師の山内健士朗氏(36)が就いた。任期は来年3月末まで。町が12日発表した。

 山内氏は東京都出身。帝京大医学部卒。本県のへき地医療修学資金制度をきっかけに来県し、只見町の朝日診療所などで診療に当たった。相馬市の公立相馬総合病院に勤務した経験で被災地医療に関心を持った。家庭や地域などの環境に応じて医療を行う総合診療医・家庭医が専門。

 大熊町診療所は震災、原発事故後、町内で初めて設置される医療機関で、帰還町民の1次医療を担う。内科のみで、大川原地区の福祉関連施設の一部を改修し、診察室や処置室などを設ける。町によると、1日現在の町内居住者数は285人。

 2、3の両月は山内氏とDMAT(災害派遣医療チーム)派遣の看護師1人が診療を担う。4月からは山内氏と町採用の看護師2人で診療する。診療日は毎週火曜日で時間は午前9時~正午。場所は大熊町大川原字南平1920の1。問い合わせは町診療所(電話0240・23・7170)へ。

 大熊町診療所長・山内健士朗氏に聞く 避難生活、健康に影響

 大熊町診療所長に就いた山内氏は12日、福島民友新聞社などのインタビューに応じ、町が抱える医療の課題や今後の抱負を述べた。

 ―帰還町民の医療・健康問題をどう考えるか。
 「医療やインフラなどが不十分な状況で、高齢の方々が戻ってくる。多くの方が薬を飲んでいる。会津若松市まで通う町民もおり、彼らの負担を減らしたい。町民が飲む薬を見せてもらったが、高血圧や糖尿病などが多い。長い避難生活による生活習慣の乱れで多くの健康被害が出ている。『かかりつけ医が町内にいる』と思ってもらえる医療を提供したい」

 ―「被災地医療」への思いは。
 「震災により地域の医療福祉だけでなく、家族などのコミュニティーも壊れてしまった。1人暮らしになり、基礎疾患を放置し、健康状況が悪化している。異変に気付く人が周囲にいない。問題があると気付かなければ医療機関を受診しない。町や保健師などと連携し、こういった人たちに関わっていきたい」

 ―どのような診療所にしたいか。
 「何でも話しやすい環境をつくり、気軽に相談できる診療所にしたい。しっかり話を聞き、寄り添った診療ができると思っている。古里に戻って生活を再開したその思いを尊重しながら、町民と一緒に健康問題に向き合っていきたい」