「全科目の根本」読解力養う指導模索 福島県内小中学校、絵も使用

 
風刺画を使ってフランス革命の歴史を学ぶ生徒=福島四中

 県教委は本年度、児童生徒の読解力の向上へ小中学校など14校をモデル校に指定した重点的な対策を進めている。基礎的な読解力を測るテストで本県の児童生徒は文章を正確に読む速さに課題があることが明らかとなり、県教委は教員の指導力向上に重点を置き、効果的な授業方法を模索。モデル校となった教育現場では、教員たちの試行錯誤が続く。
 
 視覚は入り口

 「この絵を見て気が付いたことはあるか」。モデル校の一つ、福島四中(福島市)での研究授業。社会科の古川幸大教諭(24)がフランス革命前後の3枚の風刺画を示しながら生徒に問い掛けた。

 古川教諭は、平民が石に押しつぶされている革命前の風刺画を指し「石は税金の負担を表している」と解説。生徒は班ごとに「革命後は聖職者や貴族も平等に石を支えるように変わったね」などと意見を交わしながら、風刺画の解説を書いたり、登場人物にせりふを付けたりした。

 視覚的な情報を入り口に教師と生徒、生徒同士のやりとりを交えて退屈させないことを目指した授業。古川教諭は「文章だけでは苦手意識を持ちやすい子どもでも、絵を使うと関心が高まる」と手応えを感じる一方、「絵ではいろいろなところに目が行ってしまい、正しい情報を見抜けないこともある。教師が導く必要がある」と課題を指摘した。

 拾い読み習慣

 県教委によると、文部科学省の「全国学力・学習状況調査」で、本県は文章の解釈に関する正答率で例年全国平均を下回っているほか、基礎的な読解力を測る「リーディングスキルテスト(RST)」では、概念や定義に合う具体例を答える問題の成績が低い傾向にある。県教委は「動画や画像がメインのスマートフォンやタブレットの普及により、じっくり読み書きする機会が減り、膨大な情報からキーワードのみで拾い読みする習慣がついているのではないか」(義務教育課)と分析する。

 読解力向上に向けたモデル校の指定は2018(平成30)年度から行われてきたが、これまでは対象校でRSTを行い、実態を把握するにとどまっていた。本年度はどのような授業が読解力の向上につながるのかを各校で研究し、有効な授業モデルの構築につなげる方針だ。
 
 全科目の根本

 「読解力は全ての科目に関係する。読解力を向上させるための指導を、授業にどう取り入れていくかが課題だ」。同僚である古川教諭の研究授業を見学した阿部大輔教諭(41)はそう指摘し、自校だけでなく「他校の取り組みも参考にしたい」と話す。

 県教委は、モデル校での研究成果を共有するために2月に会合を開くほか、年度内に実践事例集を公開して各校に成果を発信する。「読解力は、進路選択や夢の実現に必要な基礎的学力の根本。震災の教訓を人に伝えられる大人を育てていきたい」。県教委の担当者は、本県の復興を担う人材の育成につなげたいとの思いを明かした。