地盤調査段階でデータ測定、地中熱導入のコスト減 産総研と7社

 

 産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所と福島地下開発(郡山市)など県内7社は、建物を建てる前の地盤調査の段階で、地中熱システムの導入・設計時に必要なデータを簡易に測定できる技術を開発した。国の認定取得に向けた準備に入っており、早ければ2022年度の認定を目指している。現行の測定方式よりも大幅にコストを削減できるのが特長で、自治体の庁舎や企業での活用を見込んでいる。「福島方式」の技術が標準化されれば全国的な地中熱システム導入の起爆剤として期待される。

 開発したのは地盤の「見かけ熱伝導率」を簡易に測定する技術。現行方式では、測定のために深さ50~100メートルの穴を掘り、熱交換チューブを埋設して機器につなぎ、温水を循環させるなどの工程が必要で、1カ所につき300万~400万円の費用がかかる。導入が可能かどうか分からない段階でかかるコストの高さが、システムの導入を阻む大きな要因になっているという。

 新方式は、建物建築前に義務付けられている地盤調査用の穴を使い、1メートル間隔に温度センサーが付いた機器とケーブルヒーターを入れて熱伝導率を測る。測定のために新たに穴を掘る必要がなく、コストを6分の1程度に抑えられるとしている。現行方式では測定地点の平均値を取り、測定後に地中に埋設した機器を回収しにくいことも課題となっていた。新方式は温度センサーで地層ごとの詳細なデータを取得でき、測定場所を原状回復できるという利点もある。

 22年度にも認定取得

 産総研と、土質調査などを手掛ける福島地下開発など7社でつくる県地中熱利用技術開発有限責任事業組合(ふくしま地中熱LLP)は、本年度までの3年間で、県内47地点で新方式の測定試験を実施。うち27地点では現行方式のデータも取り、双方の測定値で同水準の精度が得られた。測定データを地図化し、県内のどこの地盤が地中熱導入に適しているかの傾向も分かるようにした。

 見かけ熱伝導率の測定は現在、国が定めた現行方式の「技術書」に基づいて行われている。新方式普及に向け、ふくしま地中熱LLPは現在、3年間の測定試験で得られたデータを基に技術書の作成を始めており、21年度中の完成、22年度の認定取得を目指している。

 見かけ熱伝導率 地層や岩石の中を流れる地下水の影響を加味して測定する地盤の熱伝導率。値が大きいほど地中熱システムの導入に適した地盤であることを示す。外気温度と比べ、地中温度は年間を通じて一定のため、夏は地中に熱を逃がし、冬は地中から熱を取り入れる地中熱システムは冷暖房への利用で効率的とされる。