浪江、水素活用へ住友商事と協定締結 マルチステーション設置

 
オンラインで協定を結んだ吉田町長(右)と森執行役員=浪江町役場

 住友商事(東京都)は、多様な燃料電池(FC)自動車にエネルギーを供給する「マルチ水素ステーション」を浪江町内に設置する。町と共同で、燃料電池で動く乗用車やバス、トラック、自転車などを町の足として導入する事業などを検討する。町と同社が25日、水素の利活用などに関する連携協定を結び、方向性を確認した。町によると、水素ステーションが設置されれば町内初となる。

 同社は昨年10月に水素事業部を新たに設け、水素関連事業に本格着手した。同町の燃料電池自動車に関する事業では、採算性や効率性、地元企業などとの連携の可能性などを調査する。

 また都内で展開するビジネスマッチング、人材育成事業の知見を生かし、町内で検討されている拠点整備にも協力する考え。

 協定の連携事項は〈1〉水素の利活用をはじめとした再生可能エネルギーの地産地消〈2〉町の交流・関係・定住人口の拡大〈3〉持続可能なまちづくり―の3項目。

 町は2017(平成29)年3月末に原発事故による避難指示が一部で解除されたが、帰還率は1割にとどまる。このため、協定を通じて50年までに二酸化炭素(CO2)の排出実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」の実現、移住・定住者の増加などを図りたい考え。

 町は「福島水素エネルギー研究フィールド」を中心に、水素社会の実現に向けた「なみえ水素タウン構想」を掲げている。
 協定式は新型コロナウイルス感染症対策のため、町役場と都内の両会場をオンラインで結んで行われた。吉田数博町長と森肇同社執行役員が協定書に調印した。

 吉田町長は「水素は脱炭素の切り札。同社のノウハウを基に町への移住定住を進めたい」と述べ、森執行役員は「町の復興とゼロカーボンシティ実現に貢献したい」と話した。