町民一丸「危機を乗り越える」 福島県最大クラスターの南会津

 
南会津町田島の中心市街地。不要不急の外出自粛などの影響もあり、昼間も人通りは少ない=27日午後2時ごろ

 特別養護老人ホーム田島ホームで新型コロナウイルス感染症のクラスター(感染者集団)の拡大が続いている南会津町。ほかの介護施設も休止するなど、高齢者の多く暮らす町で介護サービスなどへの影響が出始めている。一方、感染症対策や不要不急の外出自粛を続ける町民ら。「地域一丸で危機を乗り越えなければ」。一日でも早く日常を取り戻そうと辛抱の時が続く。

 県内最大のクラスターとなった田島ホーム。県からの災害派遣医療チーム(DMAT)が派遣される中、通常の約半数ほどの二十数人の職員で懸命な対応が続く。職員の一部は家庭内感染を防ぐため町営施設に宿泊しながら、介護業務や感染症対策の研修に追われている。「関係者に感謝しかない。介護の環境を復旧するため感染症の早期収束を進めたい」と思いを語る園長(61)。一方で介護職員のマンパワーが足りない状況に「これから戻ってくる退院者の受け入れも考えていかなければならない」と、新たな問題への対応に迫られている。

 町内の介護サービスにも影響が出ている。妻(78)を自宅で介護している男性(78)は、週に数回妻が通っていた町内のデイサービスが休止となった。「入浴など介助ができない大変なときもある。しかし、約2、3週間の我慢と思い、みんなで耐えるしかない」と話す。

 南会津郡内唯一の自動車教習所の田島ドライビングスクール(同町)は高齢者施設での感染拡大を受け、自動車免許の高齢者講習を休止した。一方で学生の教習はピークを控えており、生徒や社員に対する事前の問診や健康管理、車内の消毒を徹底している。社長(63)は「自分で自分を守る気持ちが重要。経営は苦しいが今は町民みんなで乗り越える時」と思いを語る。

 約140人の園児を抱える同町の田島保育園は、介護と同様に接触が必要になる保育に細心の注意を払う。園長(64)は「子どもたちのためにも園の運営は止められない」とし、「多く人が協力してくれている。感染対策はもちろん、園に出入りする人の健康状態を事前に把握し新型コロナを施設内に入れさせない」と決意を新たにした。

 町内で飲食店を営む男性(37)の店は時短営業中だが、来客ゼロの日が続く。それでも店舗のライトは常にともし続けている。「経営に不安はあるが少しでも夜の町を明るくしたい」と男性。町民らは感染症への不安の日々を過ごしながら、収束に向け前を向く。