【コロナ急拡大・医療現場の今】医療逼迫 県北の救急「危機的」

 

 「ついに、うちにも」。新型コロナウイルスの感染者を受け入れている福島赤十字病院(福島市)で感染制御を担当する看護師の吉田和恵(44)は最初の連絡を受けた時、血の気が引いた。昨年12月14日、入院患者2人と看護師2人の感染が判明した。院内感染が起きていた。

 時間との闘い

 別の病気で救急搬送されて入院した患者の家族の感染が判明し、この患者を検査したところ陽性だった。救急搬送から5日が経過していた。吉田は状況の把握を急いだ。時間との闘いだった。「(感染が)どこまで広がったのか分からず、それを把握するのに必死だった」

 病院は、感染した患者が滞在した二つの病棟の看護師計68人を2週間の自宅待機とした。外来診療を休止し、外来スタッフらを2病棟の入院患者の対応に回した。最終的に患者3人、職員5人の計8人の感染が確認された。「自分の対応が悪かったのかも」。自宅待機中、感染拡大に対して自責の念を持つ看護師もおり、病院は復帰前に心のケアの時間を設けた。病院は年明けから外来や新規入院患者の受け入れを再開した。

 この院内感染をきっかけに、病院は緊急入院する全患者に抗原検査とPCR検査を行うことにした。外注しているPCRの結果が出るまでの約2日間は念のため個室に入院してもらう。

 今、病院に43室ある個室は常に満床に近い状態になっている。個室が埋まってしまえば救急患者を受け入れられない。院長の渡部洋一(63)は危機感を隠さない。「救急患者に対するPCRはどの病院でもやっている。県北の救急体制は今、危機的だ」

 予測つかない

 福島赤十字病院がクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客だった最初の感染者を受け入れてから、2月で丸1年になる。感染者を受け入れる病床は18床あり、今月21日の取材時点で10床が使われていた。感染者の病棟で看護師長を務めている清和彩子(46)は、どう経過していくか予測がつかない症状に警戒感を強めている。

 「血中酸素濃度が、あり得ないほど低い数値を示していても、本人は『大丈夫』と言っていたりする。本当に重症化したとき、助けるのが難しいんじゃないかと思うときがある」

 防護具を装着

 患者の急変時でも看護師は防護具を装着する時間が必要だ。「すぐに駆け付けられない。だから、患者のちょっとした変化を見逃さないよう気を付けている」

 常に緊張感を伴う現場。最近は、接する時間が限られているために通常の患者にはしている対応ができないことにジレンマを抱えている看護師も多いと、清和は指摘する。「患者の苦痛を取ってあげたいのに、それができないという葛藤。これも看護師の疲労感につながっている」(文中敬称略)