【コロナ急拡大・医療現場の今】危機意識 「今が踏ん張り時だ」

 
県本部員会議で県民に感染防止対策の徹底を訴える金光教授(右から2人目)。危機意識の共有が重要となっている

 郡山市の飲食店で新型コロナウイルスの感染が相次いだ昨年10月。県アドバイザーを務める福島医大教授の金光敬二(61)は、県庁で開かれた県対策本部員会議で語気を強めた。「黙って酒が飲めないのであれば、少なくとも今は飲み屋に通うのを自重してほしい」。金光の危機感とは裏腹に、その約3カ月後、会食を起点とした感染は県内各地に広がった。

 「自粛疲れ」も

 昨年3月に県内初の感染者が確認されて10カ月余り。県内では4月の緊急事態宣言に伴い、5月以降は感染が落ち着きをみせたものの、8月から感染の「第2波」、「第3波」が訪れ、12月からは1日に2桁の感染が相次ぐ状況となった。

 会食を起点とした感染拡大の背景について金光は、収束時期が見えない中、感染対策への気の緩みや「自粛疲れ」もあったと推察。だからこそ今、県民一人一人が改めて危機意識を共有することが重要だと強調する。「長く続く感染対策が負担な気持ちは分かる。ただ、感染後、医療の逼迫(ひっぱく)が原因で治療を受けられない事態は何としても避けなければならない。自分は感染しないと思っているかもしれないが、感染後、『入院できません』と言われる不安を想像してほしい」
 
 見通しつかず

 感染対策の終わりについて金光は「見通しは分からない」としつつ、ポイントとして〈1〉感染してもすぐ治る特効薬ができる〈2〉自然に多くの人が感染して集団免疫ができる〈3〉感染しないワクチンができる―の三つを挙げる。だが、「現段階では三つのうちどれも当てはまらない」とし、ワクチンの効果も見定める必要があると指摘する。

 感染対策で象徴的なマスク着用は必要だが完全に感染を防げるわけではないとする。自身の行動を制限することも重要で、無症状で病原体を保有する場合もあり、職場で感染を広げないためには健康管理の徹底が大事だと述べた。
 
 即応病床逼迫

 県内には、感染者をすぐに受け入れられる「即応病床」が350床(30日時点)ある。使用率は7~8割で推移するが、「地域によっては100%、あるいは100%超という所もあり、2~3割の余裕があるという状況ではない」と金光は危機感を強める。県全体では469床の入院病床を確保している一方、知事の内堀雅雄は「即応病床の350床からの上積みは、救急医療や通常医療が困難になる」と警鐘を鳴らす。

 県内では、不要不急の外出自粛や酒類を提供する飲食店などに対する営業時間短縮への協力要請が続く。「県民全体で外出を自粛すれば効果は間違いなく出る。要請が解除されたら何もしなくていいわけではないが、県内の医療提供体制を守るため、少なくとも感染のピークを脱しなければならない。今が踏ん張り時だ」。感染を防ぐ県民一人一人の協力が必要だと金光は訴える。(文中敬称略)