全容不明、続く事故原因調査 福島県警ヘリ不時着事故から1年

 
田んぼに不時着した県警ヘリ「あづま」=昨年2月1日、郡山市

 移植用の臓器搬送中に県警ヘリコプター「あづま」が郡山市の田んぼに不時着し、7人が重軽傷を負った事故は、1日で発生から1年が経過した。県警や国の運輸安全委員会が事故原因などを調査しているが、今も全容は解明されていない。県警が所有する別のヘリは飛行自粛が続くなど、影響は今も残っている。

 「あり得ない接触」

 ヘリが不時着したのは昨年2月1日午前8時10分ごろ。臓器移植のための心臓を会津若松市の病院から福島空港に運ぶ途中で、操縦士や整備士など7人が搭乗していた。

 運輸安全委員会が1月公表した経過報告などによると、ヘリは飛行中にメインローター(主回転翼)が機体に接触。テールローター(後部回転翼)を動かすドライブシャフトが破断した。メインローターが機体に接触することは「通常はあり得ない」(同委員会)という。

 県警によると、操縦士は当時、「風にあおられた」と話していた。経過報告によると、ヘリは同8時ごろに会津若松市を離陸後、約1680メートルまで上昇。奥羽山脈を越える辺りから高度を下げて飛行していた。上空では強い北西風を受け、同7分ごろに機体姿勢が急激に変化。操縦が困難になった。午前7~9時の会津若松市の上空約1680メートルは北西の風が吹き、風速は約18メートルだったという。

 原因解明に数年も

 日本航空の機長経験もある千葉科学大の山田光男教授(機械工学)は「山越えの風は吹き下ろしの強い風が吹きやすく、予想できないくらいの強い風が吹いたのではないか」と推測。冬場の偏西風の危険性を指摘した上で「機体に何らかの不具合が起きたのではないか」と話す。一般論として事故原因は「半年程度で判明する場合もあれば、数年かかる場合もある」という。

 同委員会は「風だけが原因とは限らない」として、今後は操縦や機体の異変などについて詳しく分析していく方針。調査には機体を設計したイタリアの代表者やエンジンの設計・製造をしたカナダの代表者なども参加している。

 他県警に出動要請

 県警が所有する別のヘリ「ばんだい」は、事故原因が明らかになるまで飛行を自粛。事件捜査などでヘリが必要な際には、他県警に出動を要請している。県警総合運用指令課によると、他県警に出動を要請したのは4回(1月28日時点)あったという。

 県警の和田薫本部長は1月15日に行われた記者会見で「(運航再開が)いつからかを明示することは控えたい。考え得る安全対策を講じた上で、再開を検討している」と語った。