「空飛ぶコメ作り」須賀川で始動 ドローン空撮、肥料散布など

 

 コメ作りの負担を減らしたい―。須賀川市で小型無人機ドローンを活用した水稲栽培の取り組みが進んでいる。名付けて「空飛ぶライスマンプロジェクト」。ドローンが空撮や肥料の散布などに活躍する仕組みで、「経験だけに頼らない」データに基づいた農作業を模索中だ。「担い手の高齢化や後継者不足が課題となる中、より楽で持続可能な農業を実現したい」と関係者。2022年の実用化に向け挑戦が始まった。

 プロジェクトは、情報サービス業「情報整備局」(須賀川市)と開発研究支援を手掛ける「エムケー技研」(郡山市)が共同で実施する。ドローンで水稲を空撮した画像を組み合わせ、水田全体の画像を作成。品種や作付け日、日照時間、積算温度などの情報を反映させ、実測約4平方メートルの網目ごとに稲の生育状況や雑草、病害虫の発生を把握。このデータに従い、ドローンが肥料や農薬を自動で散布する。生育のむらをなくし、資材コスト削減も期待できる。

 取り組みのきっかけは現場にあった。「例えば、肥料は重い機材を背負いながら、手作業でまく。重労働だ」。コメ農家でもある情報整備局の和田晃司代表(37)は父親と2人でコメ作りに精を出すが「父もいずれ作業できなくなる。担い手も少ない中、続けるためにどうしたら楽になるのかを考えてきた」と思いを明かす。目標とする体にも優しい持続可能な農業は、作り手としての実体験に基づく。エムケー技研の古泉賢人さん(29)も「地方から元気を発信したい。そのためにも、長く健康で働ける環境づくりが重要」とプロジェクトの意義を語る。

 実験は昨年6月ごろ、須賀川市長沼にある約70カ所の水田計約14ヘクタールで開始。生育には天候や病気、品種、土の性質など多様な要素が複雑に絡む。分析精度を上げるため、データの蓄積を進め、人工知能(AI)の導入も検討するという。両社は収集データについて「条件は地域ごとに変わる。須賀川をはじめ、将来的には県全体をカバーしたい」としている。

 「熱い思いを持つ人たちと地域の課題解決に取り組めてうれしい」とエムケー技研の諸根理仁社長(30)。情報整備局の斎藤浩平さん(38)も「日本の緻密な農業は強み。強みを守り、世界の人においしいお米を食べてほしい」と意気込む。4人の"ライスマン"がコメ作りの在り方を変える。