不明点埋める史料「万世大路事業誌」注目 3月末に解説本刊行

 
明治時代の県庁文書「万世大路事業誌」の表紙

 福島市と山形県米沢市を結ぶため明治初期に整備された栗子峠の新道「万世大路(ばんせいたいろ)」の開通に関する当時の県庁文書「万世大路事業誌」が注目を集めている。福島県庁や内務省、工部省、仙台鎮台(陸軍)などのやりとりをまとめており、開通の詳しい経緯や工事での死傷者の対応、医療体制など、これまで不明だった点を埋める貴重な史料だ。

 新道は福島・山形の発展に向けて両県が1876(明治9)~77年着工。当時日本最長の876メートルの「栗子隧道(ずいどう)」や「二ツ小屋隧道」などトンネル5本、橋30カ所以上など大規模工事を進めて81年に開通。明治天皇が開通式に参加し「万世大路」と名付けた。昭和初期から改良されたが、国道13号整備に伴い昭和40年代に廃道となった。

 同事業誌は福島市史に一部引用されたが、本格的な研究はされなかった。調査している県文化財保護審議会委員の守谷早苗さんは「工事の経緯や補償、見舞金などの詳細が分かった。万世大路研究が一層進む」とした。

 万世大路の保存活動に取り組む「二ツ小屋隧道保存会」は3月末、「万世大路事業誌」の原文に注釈や解説を加えた本を刊行する。販売しないが福島市内の図書館などに寄贈する。

◆19日に特別講座

 刊行記念特別講座「明治の万世大路をひも解く」が19日午後1時30分から、福島市のあづま総合運動公園研修室で開かれる。執筆者の守谷早苗さんが講師を務めて、事業誌の内容を解説する。
 二ツ小屋隧道保存会の主催、県や福島河川国道事務所、市の共催。入場無料。定員80人で事前申し込みが必要。聴講の申し込みや問い合わせは同保存会事務局の高橋一夫氏(電話090・1931・0001)へ。
 同保存会の鈴木信良代表と高橋一夫氏、福島河川国道事務所計画課の高橋正晴課長、県北建設事務所企画調整課の中浜早苗課長、市文化振興課の佐藤喜彦課長は聴講を呼び掛けている。