新型コロナ警戒、もどかしい「救急搬送」 行動歴など問診に時間

 

 急病人らの搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」の件数が中通りの消防本部で増加している。特に郡山地方消防本部など中通りの都市部を管轄する消防本部で増えている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、搬送時に感染の疑いを聞き出す問診に時間がかかっていることが主な要因で、医療体制の逼迫(ひっぱく)状況も影響しているとみられる。

 感染が広まった昨春を境に状況が変化した。郡山地方消防本部では、昨年3月~今年1月までの搬送困難事案は前年同期比で約1.3倍となる224件に上った。搬送する全ての患者に行動歴のほか、家族に新型コロナ感染者の濃厚接触者がいるかどうかなどを詳しく問診。その結果に基づき、医療機関で受け入れ可能かを判断している。

 「感染拡大の前から、『別の救急患者を受け入れている』などの理由で断られるケースはあったが、新型コロナの影響で、より受け入れが難しくなっていると感じる」。郡山地方消防本部の消防課救急係長の渡部俊仁さん(51)は打ち明ける。

 搬送するまで30分以上かかる事案が昨年3月~今年1月で、前年同期比約1.3倍となった安達地方消防本部。救急係の担当者は「これまで聞かなかったような病状確認の質問事項が増え、時間を要するようになった」と話す。医療機関ごとに質問される内容や項目の数も違い、保健所への連絡する業務も加わったという。

 特に発熱や呼吸器症状があると、問診や医療機関への照会には細心の注意を払っている。この担当者は「現場でコロナではないと判断できても、呼吸器症状があれば、病院に受け入れられない可能性もある」とし、対応の難しさを指摘する。

 現場で緊張感を持って新型コロナに対応している救急隊員。福島市消防本部の担当者は「感染対策を怠ってクラスター(感染者集団)が発生した場合、病院は一気に回らなくなる。市民の皆さんは新型コロナに感染しないよう対策を徹底してほしい」と訴えた。