避難者向けへ家系図制作 元飯舘村職員・横山さんが開始

東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で失われた古里や親族のつながりを形に残し、次の世代に引き継ぎたい―。避難者のそんな思いに応えるため、福島市の横山秀人さん(50)が、「家系図」の制作サービスを始めた。震災当時、飯舘村職員だった横山さんは「避難者の心の整理を手伝いたい」と語る。
横山さんは今年1月、同市渡利に「縁結び家系図や」をオープンした。夫婦両家の先祖をたどる家系図を制作するほか、写真や資料を使った冊子「自分史」の作成なども手掛ける。
飯舘村職員退職後、村内で行政書士として働き、村民の賠償請求の支援などを続けるうち、原発事故で大きな打撃を受けた古里への思いを何か形に残せないかと考え、家系図の利用を思い付いたという。
これまで横山さんが受けた注文の中で最大の家系図は、避難指示が続く飯舘村長泥地区から避難する福島市の鴫原良友さん(70)から依頼を受けたもの。家系図に記された親族は255人に上り、A1サイズの用紙に収まりきらず、2枚つづりになった。
「自分の世代で古里と家の歴史を残さなければ先祖が浮かばれない」。生まれ育った長泥地区から避難した鴫原さんは、完成した家系図にそんな思いを込める。「帰還のめどは立っていないが、いつか孫世代と大勢の親族と一緒に囲んで思い出話がしたいね」
横山さんは「被災して親族がばらばらになっても、家系図を見れば忘れない。親族で囲んで思い出話に花を咲かせてほしい」と話している。問い合わせは同店ホームページ、または同店へ。
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