吉田富三の詩書籍に 浅川の顕彰会発刊、未公開随想も

 
書籍をPRする江田町長(左)と内田名誉館長

 浅川町出身の世界的ながん研究者吉田富三(1903~73年)の詩や随想をまとめた書籍「蜘蛛(くも)の子よ―詩と随想集」が発刊された。吉田が世界で初めて発見した移植可能ながん細胞「吉田肉腫」が昨年9月、国立科学博物館の「重要科学技術史資料」に選ばれたことを記念し、町吉田富三顕彰会が発刊した。

 吉田は43年に実験中のラットの腹水から生きたがん細胞を発見、世界のがん研究を進展させた。このがん細胞は後に「吉田肉腫」と命名された。一方で、吉田は文学にも通じ、人間の生き方や言葉などに関する著作物を発表していた。第2次世界大戦後には国の国語審議会委員を務め、漢字を廃止しローマ字に移行する論調が高まる中、現在まで続く漢字仮名交じり文の表記を主張した。

 書籍には吉田の詩や随想約250編がまとめられた。吉田が手帳などに残していたもので、ほとんどはこれまで未公開だった。書籍は1500冊作製、町内の小中学校や県内自治体などに送付される。10日は吉田の誕生日。顕彰会理事長の江田文男町長は「現代を予知しているような内容もあり、興味深い」、内田宗寿吉田富三記念館名誉館長は「たくさんの人に読んでほしい」と話した。