「少しずつ進むしか」復旧へ前向く住民 震度6強・新地町ルポ

 
災害ごみを仮置き場に運ぶ住民=16日午後2時10分ごろ、新地町

 福島県沖を震源とし、最大震度6強を観測した13日深夜の地震は、県内各地で多くの被害が発生した。県によると、新地町は住宅約1300棟が損壊。さらに追い打ちをかけたのが、15日の強風や大雨。寒さや雨漏りなどで思うように復旧が進まず、心が折れそうになる中、住民たちは日常生活を取り戻すため、一歩ずつ前へ進んでいる。

 ◆寒さ、雨漏りに嘆き

 冷たい風が吹き、時折雪も舞った16日の新地町内。視線を落とすと、数メートルにわたって道路に亀裂が入っている場所もあった。「バタバタバタ」。静かな町に、屋根に取り付けられたブルーシートが風でめくれる音が響く。ブルーシートは、至る所の住宅で取り付けられていた。

 屋根の瓦が庭や周辺に散乱した住宅があった。玄関を入ると、袋にしまったままのブルーシートが置きっ放しになっている。この家は78歳の女性と息子の妻、孫2人の4人暮らし。「役場からもらってきたんだけど、私一人では取り付けられない。孫たちは日中は仕事に出ているから」。女性は下を向く。屋根には孫たちが取り付けた自前のブルーシートがあったが、簡易的なため風でめくれ、役目を果たしていなかった。

 室内は雨漏りし、湿った空気が流れる。天井には染みができ、その下には雨漏り対策で置いた鍋に水がたまっていた。「昨日は昼すぎくらいから雨や風が強くなって、水漏れがした。家の中はあちこち水だらけ。片付けも進まない」

 ◆絆強く、住民助け合い

 JR新地駅東口に設置された災害ごみ置き場には、車が次々と訪れていた。パン店の男性(73)は使えなくなったテレビなどを持参。「10年前を思い出しちゃった。地震は怖い」。パンを焼く窯にも被害があったが「断水して食事に困っている人がいるから」と店は続けている。

 町役場から車で10分ほどの一角に数十キロはあろうかというブロック塀が倒壊していた。「東日本大震災の時も倒れて、直したところ。前より高さを低くしたんですけど...」。住民の女性(68)は嘆く。隣に住む女性の姉(72)には「工事をしませんか」と不審な声を掛けてくる人がいたという。「人の災難を食い物にしようとする人もいる。信じられない」

 復旧に向けたスピードはまだ上がっていない。町によると、ブルーシートを配布したり、被害状況の把握に努めたりしている段階で、罹災(りさい)証明の発行などは来週をめどにスタートさせる予定という。「少しずつ進んでいくしかない」。女性は前を向く。

 ただ、悪いことばかりではない。忙しくて自宅を出られない時、近くの人がブルーシートを取りに町役場に行ってくれた。「普段から声を掛け合っているからかな。人の情けが身に染みる。やっぱり助け合っていかないと」

 重なる困難の中、復旧に向かう住民たち。「頑張ろう新地」。町内の防災緑地公園には「復興の象徴」として、そう記されたフラッグが風になびいていた。