県内農作物に地震被害 「やれることをやるしかない」出荷再開急ぐ

福島県沖を震源とする最大震度6強を観測した地震で、県内農業も大きな被害を受けた。花き農家や農業用施設が打撃を受け、県の19日現在のまとめによると農林水産被害は約8億円を超える。新型コロナウイルスによる価格下落が続く中での被害に、生産者は頭を悩ませる。
「揺れは東日本大震災より大きく感じた。(被害には)あぜんとした」。中島村の水野谷園芸代表の水野谷貴志さん(46)は振り返る。シクラメンの苗4千本の入った容器とゼラニウム5千本分の鉢が、栽培していた高さ約50センチの台から落下。ビニールハウス内は足の踏み場もないほどだった。被害総額も数百万円になりそうだという。
地震の翌日から親戚や同業者の手伝いで、植え替えなどの作業に追われた。今後も病気になったり、うまく成長しない可能性がある。
新型コロナ禍で価格下落も続いており、「先が読めない」と不安を口にする。ハウスの点検など復旧に向けた作業も多く、「やれることをやるしかない。花を欲しいと思っている人に届けられるように頑張りたい」と話す。
供給継続「最優先」
全農県本部が運営する郡山市の菌床しいたけイノベーションセンターでは培養中のシイタケの菌床玉が落下するなどの被害が出た。
センターで培養する約4万個のうち、床に落下して変形したものなど約2200個を廃棄。発生時期も厳重に管理していたが、地震の衝撃で成熟していない菌床からもシイタケが生えてしまったという。予定前に生えたシイタケは商品にならず、今後の仕分けや検品では廃棄する菌床玉も5千を超える見通しだという。
農家に供給する菌床玉約2万個に被害はなかったが、3月末までに計約6万5千個を出荷する予定で、職員らが急ピッチで作業に当たる。計画を組み直し、予定通りには供給できる見込みだが、同本部園芸直販課きのこ菌床供給の山内一之担当課長は「生産者に迷惑が掛からないよう出荷作業を最優先で行っているが、センターの菌床玉4万玉については先が見えず、めまいがするようだ」と頭を抱える。
選果施設も破損
農業用施設にも被害が出た。全国有数のキュウリ産地である須賀川市の選果場「きゅうりん館」は、ベルトコンベヤーの足場が数カ所ずれたり、天井が破損するなどの被害があった。
同市を含むJA夢みなみ管内は、2019年の東日本台風(台風19号)の影響で露地やビニールハウスによる抑制栽培のキュウリ出荷量が減少。昨年は天候不順で収量低下に見舞われるなど、生産者が自然の猛威に泣かされてきた。
同施設は、昨年10月から選果機の更新を進めている中の地震被害だったが、担当者は「なんとか工期には間に合いそう」と安堵(あんど)していた。
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