「ラズベリー」全国一にする 大和田さん、矢祭から夢への挑戦

 
ラズベリーを栽培するビニールハウスを手入れする大和田さん

 東京電力福島第1原発事故で富岡町から避難後、矢祭町に移住した大和田達也さん(27)は、町の地域おこし協力隊の一員としてラズベリー栽培に汗を流す。「いずれは独立して自分の農園を持ちたい」。新天地で夢を膨らませる。

 町内にある矢祭園芸でラズベリー栽培の基本や農業経営を学ぶ大和田さん。ほかにも、ラズベリーの新品種の普及を図ったり、福島路ビール(福島市)と連携してラズベリーを原料としたビールを商品化したりするなど、新しい分野にも挑戦している。「町の特産品として全国に発信したい」。表情には充実感がにじむ。

 大和田さんは、双葉高2年の時に東日本大震災と原発事故を経験。家族を失うことはなかったが、川内村やいわき市など避難先を転々とした。その後、都内の大学に進学。在学中に経験した海外旅行が人生の転機となった。キルギスなどアジアの国々で出会った、生き生きとした表情で日々を過ごす農村部の人々。「自分もあんな風に古里の福島で農家として働きたい」。夢が芽生えた瞬間だった。

 農家になることを思い立ったものの、そのなり方までイメージできたわけではなかった。そんな時に出合ったのが矢祭町だ。都内で開かれた地域おこし協力隊の説明会で町に興味を持ち、19年2月には実際に町を見学した。目の前に広がったのは、古里の富岡町によく似た豊かな自然や田園風景。「農家として基礎を学ぶなら矢祭がいい」。決意を固め、地域おこし協力隊に応募した。

 大和田さんの地域おこし協力隊としての任期は来年9月まで。任期終了後の道はまだ決めていないが、引き続きラズベリーを学び、将来的には町内で農園を経営したいと考えている。「多くの人に矢祭のラズベリーを知ってほしい」。古里を離れてつかんだ夢への挑戦は、まだまだ始まったばかりだ。