日産が浪江に新公共交通拠点 新年度開設、効率的移動を研究

 
会見する日産自動車の内田社長

 日産自動車は新年度、電気自動車(EV)や自動運転技術を活用した「新しい移動サービス」の構築に向けた研究拠点となる事務所を全国で初めて浪江町に開設する。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故により人口減少と高齢化が進行した浪江町を、人口減少社会の新たな交通モデルを探る場所と位置付け、持続可能な公共交通の確立を目指す。

 新年度にはさらに、浪江町で2月に行った実証実験を南相馬市と双葉町に拡大して実施する。相双地方の復興を見据え、今後、具体的な実証内容を検討する。内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)が18日、浪江町で開いた記者会見で明らかにした。

 同社は2月、EVや自動運転技術を活用したまちづくりを浜通りで進めるため浪江、双葉、南相馬の3市町や民間企業7社と連携協定を締結。同社などは協定に基づき約2週間、浪江町の「道の駅なみえ」を拠点に人と物を同時に運ぶ「貨客混載」の移動サービスの実証を行った。

 実証ではEVや自動運転車を役場、スーパー、郵便局などを巡るルートで走らせ、住宅街と道の駅を往来させた。現在、利用状況のデータを基に、人と物の効率的な輸送の検証を進めている。

 同社によると、浪江町に開設する事務所は社員約40人が常駐できる規模となる。実証では社員を含め最大約100人の関係者が町内に滞在しており、腰を据えて研究できる場所を設けようと判断した。事務所はJR浪江駅周辺に構える方針。

 内田社長は町役場を訪れ、吉田数博浪江町長と会談した。吉田町長は「実証だけで終わらせず、浪江で夢を実現してほしい」と期待を寄せた。内田社長は「人々の生活を豊かにすることが日産の存在意義。人口減少社会を踏まえ、車を売るだけでなく新しい移動サービスの価値について、浪江町のプロジェクトを通して一緒に勉強させていただきたい」と話した。