「負の遺産」の象徴展示始まる 双葉・伝承館に原子力広報看板

 
双葉町に掲げられていた当時の看板

 県は24日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の記録施設「東日本大震災・原子力災害伝承館」(双葉町)で、かつて同町で掲げられていた原子力推進の広報看板「原子力明るい未来のエネルギー」の展示を始めた。国策として進められた原発の「負の遺産」の象徴として掲げ、原発事故の教訓を後世に伝える。

 看板は縦1.5メートル、横15メートルで、伝承館1階北東の屋外テラスに設置された。腐食が激しかった看板の本体部分は新調したが、文字盤は実物をはめ込んだ。標語考案者の大沼勇治さん(45)が、看板の保存を求める約7千筆の署名を町に提出するなど、展示に向けた活動を進めてきた。

 標語は町が1987(昭和62)年に公募。小学6年だった大沼さんが宿題として提案した作品は、応募数281点の中から優秀賞に選ばれた。看板は4種類あり、大沼さんの標語が書かれた看板は91年に設置され、約30年にわたり町中心部の目抜き通りで掲げられた。

 原発事故後、経年劣化を理由に撤去され、県立博物館(会津若松市)に保管されていた。伝承館では、看板が大きく館内展示が難しかったため、写真のみ設置された経緯があった。県は残り3種類についても順次展示する方針。

 「原子力を推進し、原発事故で全町避難した双葉の歴史を知ってほしい」。大沼さんは24日朝、避難先の茨城県古河市から家族4人で駆け付け、展示作業を見守った。「標語が持つ意味は原発事故の前後で変わってしまった。自分が考えた言葉に苦しめられた10年だった。しかし、かつて双葉で過ごした時間はかけがえのないもので、なかったことにはできない」と述べた。