「巣ごもり」追い風、福島県産米の輸出最多更新 20年度202.9トン

 

 県産米の本年度の輸出量(2月末現在)が前年度比32.4トン増の202.9トンに上り、過去最多を更新したことが分かった。新型コロナウイルスの感染拡大で高まった家庭向け需要を追い風に、東京電力福島第1原発事故により一時輸出が途絶えた香港で事故前の約6割まで持ち直したことが主な要因。ただ、感染症の影響は見通せず、輸出量の安定化に向けて新年度の取り組みが試金石となる。

 県によると、国産米の輸出量は和食ブームを背景に年々増えており、JA全農の輸出事業者などが各国で流通を図っている。本年度、香港などで開いた国産米フェアなどの結果、原発事故に伴う風評が懸念される県産米が他県産米と遜色なく売れることが分かり、県と全農県本部が輸出事業者を通じて売り込みを強化した。

シンガポール伸びる

 原発事故後、年間で最大2.9トンにとどまっていた香港への輸出量は56.9トンとなり、事故前の約57%まで回復した。事故後に輸出が始まり年間2.5~0.3トンで推移していたシンガポールは、1人当たりの国内総生産(GDP)が日本より高く、富裕層のニーズを捉えたこともあり、49.9トンに伸びた。

 輸出総量を時期別でみると、新型コロナが各国で猛威を振るった昨年4~9月は外食向け需要の低迷が目立ち、前年同期比38%減の54.7トンだった。10月以降は香港、シンガポールを中心に小売店が取り扱う家庭向けの引き合いが高まったほか、感染状況の落ち着きで外食向けが持ち直しの動きをみせたため、148.2トンを確保した。

 香港は、原発事故前の2010年度に県が輸出した県産米108トンのうち100トンを占めるなど県産農産物の最大の輸出先だった。原発事故後は一部の県産品の輸入を規制しており、野菜、果物、牛乳などは現在でも取り扱いが停止している。

 県は原発事故後、輸入規制の撤廃が早かった東南アジアへの販路開拓にかじを切り、輸出量を確保してきたが、安定化に向けては香港の規制解除が欠かせないことから、新年度も感染症に対応した形でのフェア開催や通販サイトの活用などでPRする。県は「コメを足掛かりに県産農産物の安全性と品質を訴え、香港の規制解除を実現したい」(農産物流通課)としている。