福島第1原発、処理水決定想定し戦略 福島県、風評対策を改定

 

 県は29日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の風評・風化対策強化戦略を改定した。第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水の取り扱い方針が決定された場合の対策を新たに明記。風評のさらなる拡大に対応する情報発信に加え、国の風評対策で不足が生じないかを幅広く検証することなどを盛り込んだ。

 県庁で部局長らによる合同本部会議を開いた。政府が処理水の処分方針を決めるが、現時点で決定時期や処分方法は示されていない。ただ、新年度にも想定される決定のタイミングに備え、県庁内で取り組み方針の意思統一を図った形だ。

 戦略では風評が起こり得るという視点に立ち、対策を短期と中期に分類。短期では、買い控えなど県産品のイメージダウンへの対策に加え、国や東電に対策強化を働き掛けるとした。

 中期では、風評が予想される地域や産品の情報を収集し、処理水の処分開始までに可能な対策を講じると明記。風評対策の検証では、処分方針決定後に国が想定している食品の安全性の説明や県産品の販路開拓支援で、新たな風評が生まれないかなどを調べる。

 政府小委員会は昨年2月、海洋と大気(水蒸気)への放出を現実的な選択肢とした上で、海洋放出の利点を強調する報告書をまとめている。内堀雅雄知事は具体的な処分方針について言及していないが、本県の農林水産業や観光業に影響を与えないよう、トリチウムに関する正確な情報発信や具体的な風評対策を踏まえ、慎重に対応方針を検討するよう国に求めている。

 東電は第1原発のタンクで保管できる容量が2022年秋以降に限界に達するとの見通しを示している。処分開始の準備に2年程度かかり、敷地の逼迫(ひっぱく)が懸念されているが、菅義偉首相は「適切な時期に政府が責任を持って処分方針を決定していきたい」と述べるにとどめている。戦略の改定は昨年3月以来で4回目。第5版となった今回は、農林水産物・県産品、観光、情報発信の三つを柱に強化する取り組みを盛り込んだ。