処理水「近日中に判断」 海洋放出、首相が全漁連会長らと会談

 

 東京電力福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水を巡り、菅義偉首相は7日、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長、県漁連の野崎哲会長らと官邸で会い、海洋放出決定への理解を求めた。岸会長、野崎会長は改めて反対を伝達。菅首相は会談後、記者団に「近日中に判断したい」と述べた。政府は会談内容を踏まえ、13日にも関係閣僚会議を開く方向で調整している。

 岸会長によると、菅首相は会談で、処理水に関し「海洋放出が確実な方法であるという専門家の提言を踏まえ、政府の方針を決定していきたい」と話したという。岸会長は「海洋放出に反対の立場は、いささかも変わらない」との考えを首相に伝えた。政府に対し、処分をする場合の風評被害対策の明示や、第1原発敷地内のタンクの増設など、保管継続に向けたあらゆる方策の検討を求めた。

 菅首相は、海洋放出に対して地元で強い反対があると記者団に質問され「福島県には、そういう意見が多いと認識している」と答えた。梶山弘志経済産業相は面会に同席した後、記者会見し、漁業者らへの対応について「引き続き説明、説得をしていきたい」との考えを示した。方針を決める関係閣僚会議の開催時期を問われると「今のところ未定だ」と答えた。

 第1原発では、溶融核燃料(デブリ)を冷やすための注水や流入する地下水などで汚染水、処理水が増え続けている。東電によると、今年3月時点で処理水は125万トンに上り、処理途中の水も含め敷地内で1061基のタンクに保管。東電はタンク容量が来年秋以降に満杯になるとみている。

 海洋放出を巡り、全漁連は昨年6月の通常総会で「断固反対」とする特別決議を全会一致で採択。政府に慎重判断を求める要請書を出すなどして、放出の影響について「風評被害の発生は必至」と訴えた。県漁連は全漁連と歩調を合わせ、同年6月、「断固反対」とする特別決議を全会一致で承認した。